みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、広告を使わないコミュニケーションについてのコラムです。
インターネットが人々の生活に当たり前に登場するようになってから、広告の手法はインターネットを活用したものになってきましたが、医療業界は特殊な業界のため、基本的にはMRのリアルマーケティングで近年までの広告活動をしてきました。しかし、近年のMR数の減少、コロナ禍の時代となった現在は、広告手段を変化する必要に迫られています。これからの製薬会社に必要なコミュニケーション手段は何かについて考察してみました。
製薬業界のコミュニケーションの変革期!広告やMRを使わないコミュニケーションへ
これまで、製薬業界で情報を伝える役割を一手に担っていたのはMRということをお伝えしてきました。
しかし、みなさんもご存じのようにMRの数は実際に減っており、それに伴ってMRの一人でカバーできる医師数が減ってきています。
MMでは、これらを解決するためにインターネットを有効活用し、コミュニケーションの手段にしていくことを実際に多くの製薬会社さまで推進してきました。
また、前提条件として医療の情報は、医療法による広告規制がかけられており、広告可能事項以外の情報を記載することはできません。そのため、基本的に製薬会社が使う広告としては、医師であることがチェックできるプラットフォームなどからの情報発信がほとんどです。
このような方法はドクターとコミュニケーションを取る一つの手段でもあります。しかし、プラットフォームを使うことによって相応のコストが掛かっているのも事実です。昨今のMR不足、業界の業績低迷などを考慮すると、コストを抑えながら効果を出すコミュニケーション方法も模索する必要があるのではないでしょうか。
今回は、製薬業界のデジタル化を進めている私たちが、新たなコミュニケーション方法を考えてみました。
特殊な業界であっても、コミュニケーションを取る手段は存在する!
他の業界においても、広告する手段はTVや新聞などのペイドメディアだけだった時代から、オウンドメディア、アーンドメディアマーケティングへと変遷してきています。この数年はアーンドメディアと呼ばれるSNSマーケティングで成功している企業も増加してきていますが、製薬業界は法律やガイドラインによる縛りや運用上の課題から、医療従事者とのコミュニケーションにSNSを導入することは極めて難しいのです。(ケースによっては、LINE@のようなプラットフォームを使うなど、可能な場合もあります。)
過去10年ぐらいの中でインターネットマーケティングとして利用できるメディアは数多く誕生してきていますが、医療業界の場合は制約があるため、すべてを網羅することは出来ません。その代わりに、製薬業界のPRに携わる担当者さまには、自社内でコントロールができる“オウンドメディアの活用”をおすすめしています。
MRにとって替わるオウンドメディアマーケティングを確実に使いこなそう!
今の医療業界の状況を鑑みると、インターネットでのコミュニケーションがMRの役割を担う未来は確実に近づいているということは多くの方が感じていると思います。また、コロナ禍の2020年以降、WEBサイトでの情報検索やウェビナーなどのコミュニケーションは実際に増えています。製薬会社は、このタイミングで新たなコミュニケーション手段を試してみる価値はあるのではないでしょうか。
これから製薬会社がオウンドメディアマーケティングでやるべきことを2つに分けて整理すると、以下のようなものが挙げられます。
■自社のWEBサイトやコンテンツ等、ドクターが検索し、訪問してもらう場合(PULL型):
・SEO対策などをする事で、検索時に早くサイトへたどり着けるようにする。
・実際にサイトを訪問し、閲覧した時の使いやすさにも気を配る。
・最新情報に更新されている事。
■メールなどで製薬会社から情報をドクターへ発信する場合(PUSH型):
・送りっぱなしではなく、開封されたかどうかなどを確認。
・ベテラン、研修医など、ドクターのセグメンテーションをする。
・反応の良かった内容のコンテンツ化、悪かったものの原因を探る。
◇◇重要◇◇ 上記を定期的にこなしてPDCAを回すには、「運用」が必要になる!
インターネットを使うコミュニケーションは、1:Nのやり取りに有効です。しかし、PDCAを回すならば実際に行った施策の検証をするなど、新たに運用する人員を取り入れる事は最低限必要になってきます。効果を上げるためには運用する人材がこれらを定期的に行わなければなりません。
オウンドメディア型のデジタルコミュニケーションを推進するために必要な5つのポイント
次は、オウンドメディアマーケティングのプロジェクト推進に必要なポイントについて考えていきましょう。
以下の5つの項目は、大手企業向けにデジタル時代のビジネス成果とユーザー体験をカイゼンし続けてきたメンバーズの運用サービス“EMC”(エンゲージメント・マーケティング・センター)の実績や経験をもとに、オウンドメディア中心のデジタルを活用したコミュニケーションを実現するために必要なポイントをピックアップしてみたものです。
1.ストーリーを描く
「どういう状態になることを目指すのか?」それをわかりやすくするために、ストーリーを書きます。“医療用従事者のサイトにコンテンツを増やす“等のHow(方法)ではなく、サイトに訪問した医師がどういう状態になってほしいか(to be)です。
ストーリー①ドクターA:○○製薬から、疾患に関する情報提供がメールで届く。
上記をストーリーにして描くと…
『診察の合間に、ふとスマホを見ているとxx製薬からメールが届いていた。タイトルを見ると、いまちょうど気になっていた、xxxxの治療法に関する内容だった。メールを開いて、リンク先をクリックし見ると、xx先生の論文だったので、ざっと読んだあと、通勤中に見られるようにブックマークした。』
ストーリー②ドクターB :ウェビナーをきっかけにMRとコミュニケーションが取れ、情報がもらえる。
上記をストーリーにして描くと…
『xx製薬からのウェビナー案内のメールが届いた。興味を惹くタイトルだったので開いてみたところ、聞いてみることにした。講演後、もっと詳しいことを知りたいと思ったので、担当MRに問い合わせようと思ったが、ウェビナー最後にアンケート・問い合わせフォームがあったのでそこに質問を入れた。すると翌日早速担当MRから連絡があり、zoom会議をし、資料・情報をもらうことができた。』
上記のように具体的なシーンへとストーリーに落とし込むことで、プロジェクト進行に必要なフェーズやタスク(方法)を描けるようになります。
2.アジャイル型のプロジェクト運営
プロジェクト運営は、要件を決めて、期間をかけて開発するスタイルの「ウォーターフォール型」だと、現状のデジタル化のスピードには追いつけなくなる恐れがあります。コロナ禍にある今は、スピーディーな対応ができる開発手法を選ぶことがプロジェクトを成功へ導くカギにもなります。そのため、必要なパーツごとに細かな単位でPDCAを回せる「アジャイル型」でのプロジェクト運営が最適であると考えられます。
3.データドリブン型の施策とPDCA運用サイクル
WEBサイトの訪問者数や滞在時間、広告の出稿結果など、個々に独立したままであったデータを連結し、複数の確度から分析を行います。そこから課題を見つけていくことで次の改善策の立案が可能になり、PDCAの運用サイクルを作ることができます。
4.実行チーム体制を整える
発注者と受託者、仕様を決める側と作る側という関係から抜け出したチームワーク(共創関係)を築くこともプロジェクトを成功させるために必要な要素です。プロジェクトメンバーが同じ目標に向かい、ゴールを目指せるチームになることでコミュニケーションも円滑になっていきます。
5.小さく始めて大きく育てる
現在はデジタル化を推進するのに最も良い時期と言えますが、製薬業界は他業界に比べて変化していくことに対して慎重な傾向にあります。そのため、大きな変化を急に求めるのではなく、まずは出来る範囲で成果を出し、小さく始めて大きく育てるように、少しずつ事例を広げていきましょう。
今だからこそ“活きる”コミュニケーションでマーケティング効果を最大限に発揮!
上記のような施策やポイントを抑えることでMR不足、コロナ禍の中でも広告を使わずに円滑なコミュニケーションが取れる道筋が見えてきたのではないでしょうか。
この機会に、改めて自社のWEBサイトやメールマガジンなど、オウンドメディアの活用に目を向けてみてはいかがでしょう。
さらに、広告だけに頼らない医療従事者とのコミュニケーションについて深く知りたい方は、以下のリンクから資料のダウンロードも可能です。
「広告だけに頼らない医療従事者とのコミュニケーションとは?」のDLはこちらから。https://www.members-medical.co.jp/download/