【勉強会:後編】診断技術の発展:AIとリキッドバイオプシー 

勉強会

公開日:2026.01.21
更新日:2026.01.20

診断技術の発展:AIとリキッドバイオプシー -後編- 注目を集めているctDNAを使った診断技術とは

私たちの顧問であり、株式会社メディカル・インサイトの代表取締役社長を務める鈴木英介氏と弊社の社員による勉強会のレポートです。テーマは前編に続いて「診断技術の発展:AIとリキッドバイオプシー」です。後半は、生体組織検査の種類や精度、注目を集めているctDNAを使った診断技術について説明していきます。


勉強会の参加者

佐塚さん

2018年中途入社
営業
佐塚さん

嶋田さん

2017年中途入社
Webディレクター
嶋田さん

鈴木さん

2024年新卒入社
Webディレクター
鈴木さん

安原さん

2008年新卒入社
Webディレクター
安原さん

内海さん

2023年中途入社
プロデューサー
内海さん

及川さん

2024年新卒入社
Webディレクター
及川さん

森田さん

2024年新卒入社
Webディレクター
森田さん

浅川さん

2018年新卒入社
エンジニア
浅川さん

2017年中途入社
Webディレクター
平嶌さん


線虫を使ったがん検査や遺伝子検査キットの精度はどの程度?

それでは、後編もよろしくお願いします。
出席者は、嶋田さん、鈴木さん、安原さん、内海さん、及川さん、森田さん、浅川さん、平嶌さん、僕です。

よろしくお願いします。
前半は、診断技術の発展ということで、AIを使った診断に関するお話をしてきました。後半は、もう1つのトピック『リキッドバイオプシー』についてお話をしていきますが、みなさんはこれが何かは分かりますか? 
……では、英語でリキッドとはなんでしょう? 森田さん、どうです?

うーん、なんだろう……?

液体っぽい感じ……かな?

おぉ、浅川さん良いですね! 
そうそう、液体です。じゃあ、バイオプシーは分かります?

バイオまでは分かるけど……

そう、バイオプシーという言葉はあまり聞かないなって……

みなさんありがとうございます。
バイオプシーは、いわゆる生検というもの。生体組織検査ですね。
つまり、組織を採ってきて検査するものはみんなバイオプシーなんです。がんでバイオプシーと言ったら、内視鏡などで組織を採って検査をすること。

で、リキッドが付くと液体なので、血液とか唾液、あとは尿とかですね。こういったもので検査をするのがリキッドバイオプシーと考えていただければいいと思います。なので、みなさんも体験されているものもあるかなと。

で、特にがんの検査でリキッドバイオプシーが熱い話題になっているので、その話をしていきたいのですが、その前に『こういうものを知っている』『こんな広告を見た』という方はいらっしゃいますか? 
そう言えば、みなさんは、尿を使う線虫のがん検査なんて知っていますか?

CMか記事だったか忘れましたが、見たことがあります。

そうですね。CMをやっていた時期があります。
あとは、唾液を使ったがんのリスクを判定する、遺伝子検査のようなものは見たことはないですか? 多分、『唾液 遺伝子検査 がん』などで検索すると、こういう記事もたくさん出てくると思いますが、こういった市販の検査サービスが結構出てきていて。宣伝もされているのでとても目立っているんですよね。

では、精度はどうなんだろう? 
となった時に専門家的に考えると精度は低いし、信頼度も低いのでは……というのがあります。だから、この検査でがんのリスクが低いから大丈夫、とか、リスクが高いから調べに行かなくちゃ! という判断に使われた方が、むしろリスクがあると思います。技術的にそれほど高いものを使っているわけではないですし、線虫検査の精度も学会で批判的な意見が出ていますが、相変わらず宣伝していたりしますけどね(苦笑)。

で、そういった市販の検査とは全く別で、医療機器として承認されている検査も出てきています。

術後療法のリスク判定に使われる「ctDNA」とは?

ctDNA 血中をめぐるがん遺伝子情報の欠片からがん特有の遺伝子変異を検出する

ここのところ進展している技術として、ctDNAがあります。実は、以前の勉強会(【勉強会:前編】がん治療の進化と個別化医療〜遺伝子パネル検査の意義~)で少し触れたことがあるんですが。でも、ctDNAを知っている人は流石にいないかもしれませんね。ちなみに、ctDNAの正式名称は、circulating tumor DNA です。circulatingは循環しているという意味、tumorは腫瘍なので、circulating tumorだと、“循環している腫瘍”、という意味ですね。

どういうことかというと、がんができるとがんの遺伝子情報の欠片が血の中に出てくる。それが血液とともにグルグルと体中を巡っていることになる。なので、血を採ってくるとその欠片が拾えるわけで、その欠片の情報からがん特有の遺伝子変異が検出できる。腫瘍そのものを採ってきて判断することもできますが、血液から判断することもできるんです。実はこれが、がんの中では重要な話で……というのは、いま、がんのタイプによって治療が変わってくるので、がんのタイプを特定することは治療方針を決定する時にとても大事な話になります。

がんのタイプを特定する時に、がんそのものの組織を採ってきて、そこから調べるというのは限界があるんですよね。手術のタイミングでガバッと組織を大きく取れれば良いのですが、がんの組織はそれほど大きくないし、何回も取れるものでもない。例えば、再発のたびにその部位から組織を取るのも相当大変です。だけど、血液ならいつでもできますよね。だから、利便性という意味ではやりやすいし、期待されている技術なんです。

あの……がんの詳細が分かる以外にも、がんを見つける手法として使えないんですか?

良い質問ですね! 
答えは『今はまだ、使えない』です。

この技術でがんの発見にトライされてはいますが、まだ承認されるレベルのものは出てきていない。将来的に出てくる可能性は十分にあると思いますけどね。ただ、初期のがんだと、血中に出てくる腫瘍の情報がかなり微細なので、そこまで判断できないというのがあるんじゃないかと。
なので、どちらかというと今はがんが分かった後、そのがんのタイプを特定するために使っています。

そうだったのですね。ありがとうございます。

それから、もう1つ使える場面があって。
がんで治療をする時に腫瘍を取りますよね。その後、再発を防ぐために抗がん剤を投与することがあるんです。術後療法と呼ばれるもので、がんは取って終わりではなく、追加の治療をすることがあります。

がんによって長さや治療の中身が変わってくるのですが、いずれにしても、患者さんにとって術後療法は、特に化学療法だと副作用を考えるとできれば避けたいわけです。みなさんもご自身やご家族がそうなったら……と考えると分かりますよね? 
例えば、1年間抗がん剤を使い続けたら再発の確率を10%から5%に下げられるとしても、再発しない確率が90%から95%になるぐらいなら、そこまでして頑張りたくないな、とも思う人もいそうじゃないですか。

全員「(頷く)」

なので、できれば、本当にリスクの高い人に対してだけ、追加の抗がん剤の治療をしたいというわけです。お医者さん側も、何がなんでも全員にやりたいと思っていないわけで。

で、ctDNAを使うと、この再発リスクをより精度高く判別することができるんです。手術をした後に血液を採ってきて、がんの遺伝子の欠片があるかないかを見る。そこで、なければ追加の治療は要らない。あれば治療する。このようにして、リスクがある人にだけ、術後療法をする・しないかを決めるという考え方が出てきているんですね。

そうすると、術後療法の無駄打ちをしなくて済む。本当に必要な人にだけ、術後療法をすることができる。今のctDNAは、そういうリスクの判定に使えそうだという話になってきています。画像上でがんが取りきれていても、見えないレベルでまだがんが残っているから再発してしまうわけですが、画像で見えないレベルのものが残っているかどうかまで判定できるのが、ctDNAという技術だと考えていただければ良いかなと思います。

なので、いま申し上げたようにctDNAはリキッドバイオプシーのやり方の1つなんですけど、がん治療の世界では熱いトピックになっているところです。今回は、かなり専門的な話に近いところまで話しをしてきましたが、このお話の中で質問などはありますか?

あの、骨のがんも血液に溶け込むんでしょうか?

そうですね。
まず、骨のがんっていうのは、そこが原発でできているがんの数は、それほど多いわけではないこともあって、その類の研究結果は見たことないですね。多分、一つだけ言えるとしたら、ある程度進行しないと溶け込んでこないということでしょうね。
……他の方はどうですか? 何か他の医療に関する質問でも良いですよ

画像で特定困難な痛みにはペインクリニックを推奨!

痛みは原因特定が難しい!痛みにAI診断は有効なのか? 画像で特定困難な痛みにはペインクリニックを推奨!

現在通院しているのですが、MRIを撮ってもなぜ痛みが発生しているのかが分からないと診断されました。AIの方が画像の判断が正しくできるという話を聞けたので、AI診療を受けたくなりました(笑)

ありがとうございます(笑)。
ただ、痛みって原因特定が難しくて、MRIを撮って分かる痛みというのは、ある意味、外科的原因があって分かる痛みですよね。だから、外科的な痛みではなかった。ということまでしか分からないですよね。それ以外の原因でも痛みを引き起こす疾患というのは色々ありますし、慢性腰痛で痛みがどうやっても取れないというケースでは、実は結構な確率で精神的なものが原因となっているという話もあるんですよ。

なので、痛みの診断って医療の中でもすごく難しい部類に入るんじゃないかと。だから、AIの画像診断だけでクリアできるかと言ったら、多分難しいんじゃないかなと思います。問診とかも含めたAI診断技術を使うと、もう少し何か分かってくるかもしれないですよね。あっ、佐塚さん、何でしょう?

さっき、腰痛が精神的な部分から来ることがあるというお話でしたが、逆に言えばプラセボで良くなるっていうこともあるんでしょうか?

もちろんありますよ。例えば、精神神経系の疾患って、結構プラセボで良くなっちゃうんです。
なので、治験でプラセボに対して薬の優位性を出すのが難しい領域なんです。

実は、筋肉が固まっている疑いがあると言われたので、リハビリを受けることになりそうです……

そうなんですね。
けれど、今の状態は整形外科的な要因ではないかもしれない可能性があるんですよね。そうなると、整形外科医はあまり診断が得意じゃなかったりします。自分の専門領域だと分かるけれど、そこからはみ出てしまっていますからね。

ちょっと脱線しますが、痛みについて整形外科で分からないときは、ペインクリニックの専門医に行くのも一つの手です。痛みの専門医ですからね。

なるほど……。色々紹介を受けて、3件目の病院の大病院に行ってもこんな診断だったので、次はペインクリニックを探してみようと思います。

大病院に行っても、整形外科だけだと原因を調べきれないかもしれないので、大病院に行くなら総合診療科に行った方が良いかもしれないですね。内科的なものも含め、色々な原因を追究してくれるところなので。

ありがとうございます。参考にします。

では、今日の勉強会はこんな感じで終了にしましょう。ありがとうございました。

全員「ありがとうございました!」

―― 今回は、「診断技術の発展:AIとリキッドバイオプシー」の勉強会レポートをお届けしました。診断技術の現在地を知ることで、AIに診断を任せられる領域や、その一方でAIにできることの限界、ctDNAを使った検査への理解も深められたのではないでしょうか。今後も勉強会の模様をお届けしつつ、業界の知識を共有していきますので、ぜひご期待ください。

この記事の担当者

佐塚 亮

佐塚 亮/Satsuka Ryo
職種:sales
入社年:2020年
経歴:大手スポーツメーカにて店舗sales,エリアマネージメント業務を担当。のちWEB制作会社にてWEBサイトの提案からディレクションをこなし、コンサルタントとしてサイト立ち上げ後の売上向上まで支援。その後2020年にメンバーズへ入社。主にクライアントからのヒアリング及び検証データを基に要件定義を行い、サイトの構築運用を実施。定常的に支援サポートを行う。クライアントはもちろんエンドユーザーの立場・視点に立ち、問題抽出から改善案の立案までを手がける

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