みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、6月21日(水)に開催されたオンラインセミナーのレポートです。デジタル時代に注目されるデータの利活用をテーマに、メンバーズグループのデータ領域に特化した「メンバーズデータアドベンチャーカンパニー」のカンパニー長の白井さんと、当カンパニー長の谷さんによる共同開催で実施しました。デジタル担当者やデータ活用に興味をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
データは重要! それでも活用していない企業が多数
デジタル化の潮流からデータ活用への注目が高まりつつも、データをどのように活用して良いか分からない企業さまは多いようです。そのようなお悩みを抱えている方を対象に私たちのご支援の事例や質疑応答を通してデータの可能性に気付き、活用へ踏み出してもらいたいという想いもあり、6月21日(水)にオンラインの無料セミナー「他業界の事例から導く”医療業界データ利活用”の可能性」を開催しました。
セミナー当日は、メンバーズグループの他カンパニーより、データ領域に特化した「メンバーズデータアドベンチャーカンパニー」カンパニー長の白井さんと、当カンパニー長の谷さんが登壇し、それぞれの企業紹介の後、いよいよ「データ活用の重要性」の話題へと入って行きました。
相談はますます増加傾向! サイロ化したデータをどう使うべきか?
まず、最初に谷さんは、医療業界の現状をDXが進まない中でもデジタルデバイスの普及で医師がデジタル上で過ごす時間は増えていると解説。しかし、MRが保有しているデータはそれぞれが“サイロ化”状態にあり、活用に至っていないと言います。そのような現状があるため、データを活用してやりたい事はあるが、理想を描くばかりになっているとのこと。
次のパートで、改めて「データとは何か」を言語化し、活用の効果や他業界の事例を紹介していきます。
データの正体は現実世界?! 活用することで起きる3つのメリットとは
白井さんは、まず「データとは何か」について“現実世界をデータという言語で写し取ったもの”と説明。そして、分析して終わるのではなく、活用に至るまでの工程を以下の図を基に紹介しながら、売上や利益につながる成果を得ることがデータ「活用」になると結論付けていました。
他業界データ活用事例
さらに、具体例として、「データ活用の3つの効果」にはどのようなものがあったのか、メンバーズデータアドベンチャーカンパニーによる支援事例を紹介しました。
■1:販売・接客・営業の非対面化(大手通信企業)
コロナ禍で対面販売ができなくなり、Webサイトを使うも会員獲得がすすまない⇒⇒⇒ユーザーに合わせたコミュニケーションができるページを実装。
■2:施策ナレッジ獲得(ECサイト企業)
施策に効果が無く、施策や予算計画が作れない⇒⇒⇒施策を正しく評価し、ナレッジとして蓄積させる
■3:チームを最短で成果に向かわせるツール(通信教育会社)
施策の承認が下りない、施策実行が遅い、効果も追えず、KPI進捗が把握できない⇒⇒⇒データの一元管理、可視化
質疑応答
事例の紹介の後は、質疑応答へ。予想以上に質問が集まり、時間内で回答できない質問もありましたが、みなさまのデータに対する意識が高い事を実感しました。
そして、参加者のみなさまから集まった質問に両カンパニー長が回答をしつつ、ピックアップされた課題について真剣に向き合う時間となりました。
(※以下は、セミナーで回答できたものを掲載しています。)
内製化支援はどれだけの期間伴走してもらえるのか? また、内部ではどんな人材が適任なのか、データに詳しくなくても大丈夫なのか教えてもらいたい。
白井さんより:
・期間は特にないが、マイルストーンとして初期フェーズで2-3年のイメージ(データ活用チームの業務が回っている=運用している状態)。そこからさらに継続してご支援するのであれば、経営方針・事業、市場環境の変化に合わせて対応する。
・また、適任者として、データの専門知識が必ずある必要はない。それよりは自社の事業を理解し、何が大事でキーサクセスファクターなのかが分かっていること。さらにデータ活用チームと関わる他の関係者、部署がどういう状態の関係なら理想なのか、そういったことについて最終的な意思決定ができれば良い。
医療従事者向けサイトで医療従事者の興味関心はどこにあるのか、どの指標を見れば明らかになるのか。そこが選びきれないので優先順位のつけかたを教えて欲しい。
谷さんより:
・結論から言えば、各社医療従事者のペルソナやカスタマージャーニーが異なるため決めきるのは難しい。一例として、KGIは処方数の最大化だとした場合、医療従事者向けサイトのKPIの設定については、“医療従事者の満足度を最大化する”という目標になると思う。医師のペルソナとカスタマージャーニーを作り、会員前の施策~初回ログイン~再来訪のコンテンツまで、どのようなコンテンツが刺さるのかなどを各タッチポイントで分析をしていくことにより、流れの中で数値的なKPI設定が必要。また、医療従事者向けサイトは常に顧客満足度を上げる施策が重要となるため、NPS調査(顧客満足度調査)、UXリサーチなど顧客ロイヤルティを測るのが理想。3か月に1回などのサイクルでリサーチをし、仮説を立て改善していく。
データ活用に向けてツール選定をしている。選定のポイントは?
白井さんより:
・ユーザーに対してどんな施策をしたいかを逆算し、必要なカテゴリを決めてその中からツールを選んでいく。
いちばん簡単な選定方法は、普及しているツールから選べば間違いない。そういったツールは検索をした時に知見がたくさんでてくる。ユーザーが多く、色々な人がいろいろな課題にぶつかり、解決方法をWeb上に沢山上げている。逆にマイナーなツールだと情報もなく、ユーザー同士も出会えないので相談もできず、ベンダーとのやり取りにも時間が掛かる傾向。
マスマーケティングが主体の消費財ビジネスと異なり、医療用医薬品ビジネスはあらかじめターゲット顧客が必要なOne to Oneビジネスとなるが、ターゲティングの精度を高めるにはどうすればよいか。
白井さんより:
・消費財ビジネスのターゲット顧客との動きが違うというのはその通り。One to Oneマーケティングは、最初に顧客をセグメントするのがお作法。しかし、ターゲットが明確な場合には“検討の段階”によって区切るのをおすすめしている。検討段階を区切ることによって、コミュニケーションが変えられるため。もし「情報収集しているだけ」という方に無理にしつこくメルマガを送り続けたら、配信を解除されてしまうかもしれない。一方、本当に買うか検討している方には説明書など詳細な情報を送るほうが喜ばれる。こういったマーケティングには「AIDMA(アイドマ)」と呼ばれるフレームワークを使ってみて自社に合わせたアレンジメントをやってみても良い。
優先順位の高い顧客のアクセス率を高めるにはどうしたらよいか(アクセス率が高くても、必ずしも優先順位の高い顧客ではないため)。
谷さんより:
・例えば、医療従事者のサイトでも医師、薬剤師、看護師さん等、さまざまな方がアクセスされる中で、第一に考えて欲しいのは、優先順位の高い顧客に対し、興味のあるコンテンツを出せているかどうか。医療従事者が見たい情報に最短でたどりつけているかどうかを検証していただきたい。一例として、企業の中にも製品がたくさんあり、各部署からさまざまなオーダーを受けているというケースでは、日々の更新の中で気付いた時には情報量が多くなり見づらくなっていたというお悩みも。このような場合は、情報を整理するとともに、ログイン後にコンテンツの出し分けをすることでアクセス率を上げ、改善していくという方法もある。新規のコンテンツを作るのは時間がかかるが、現状での改善もまだまだできる可能性がある。
オムニチャネル施策を考える中でtipsは何?
白井さんより:
・後々困らないための施策は、そのユーザーがチャネルをまたいで動いた時にデータを取れるようにしておくこと。意外と抜け落ちがち。やらないと施策の効果が分からなくなる。
・ユーザーにはチャネルをまたぐというモチベーションは無い。ならば、どういうモチベーションでチャネルをまたいで行動をするのか。どういった行動ならユーザーにも嬉しい体験となり、自社にも利益になるのか。その体験を考えるには、谷さんも言うようにユーザーに話を聞きながら設計すること。
MRの営業とデジタル、どのように使い分けたら効率的な営業活動の推進になるか。
谷さんより:
・現在ではMRの営業スタイルがリアルとデジタルを併用している方がほとんど。医療従事者やMRも全国的に減少傾向にある中で、効率よくいかに良質なデータや情報を営業に役立て、医療従事者の役に立つ情報をデジタル上で表現できるかが重要。すでにさまざまな場面でビジネス上でのデジタル化が進んでいるので、顧客満足度が高ければ効率的な営業に繋がっている可能性もある。具体的な使い分けとしては、LTVが高い大学病院のようなお客さんにはハイタッチでMRが営業を、LTVが低いクリニックのようなお客さんには、デジタルのアプローチをするのも良い。
誰でも情報にアクセスできるようになることでMRが居ない状態の中で顧客のみによる比較検討が進んでいる。顧客有利な競争市場になってしまうリスクは無いのか?
白井さんより:
・リスクはあると思う。ただ、情報開示は、自社がやらなくてもどこかがやれば進んでしまう話ではある。ならば、自ら率先して情報開示して自社をプラットフォームになってしまうのも手。そうすれば来訪者のデータも溜まるし、自分たちがやりたい事を選択できるように誘導や開発、プロモーションもできる。だが、BtoBビジネスで営業が不要になることは多分無い。また、情報が多くなるとお客さんは選べなくなるので、その選択をしやすいようにコンシェルジュ的な誘導をしつつ、自社のサービスを選ぶようにするのも戦略の1つ。
データ活用で競争力に差を付けよう!
質疑応答の内容からもお分かりいただけるように、データに対する可能性や課題は多くの方が感じています。
また、企業によってお悩みの内容もそれぞれであることが伝わってきました。
そして、こうしている間にも蓄積されていくデータには、マーケティング活動を推進し、効率化させるヒントや答えが潜んでいます。私たちにはさまざまなケースでのご支援の事例がありますので、これからデータ活用を本格的に始めたい方は、どのような内容でも構いません。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。