【セミナーレポート】PopInsight x MM 共催ウェビナー 医療業界が今知っておくべき「UXリサーチ」の重要性とは?

製薬

公開日:2022.07.05
更新日:2024.08.03

みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、6月3日に開催されたウェビナーのレポートをお届けします。メンバーズのカンパニー企業、ポップインサイトカンパニー シニアUXリサーチャー 金山 豊浩さんをゲストに迎え、UXリサーチの概論やユーザー調査のアプローチ方法について説明していきました。UXリサーチに興味をお持ちの製薬会社のみなさま、当日セミナーに参加できなかった方もぜひ、こちらから内容をご覧ください。

ユーザー視点で本質的な課題を把握! 注目の「UXリサーチ」

デジタルマーケティングを活用している各業界において、今やUX(ユーザーエクスペリエンスの略。ユーザー体験の意味)の要素は欠かせないものとなっています。さらに、Webサイトの制作や改修において制作者側からは分からない、“具体的な課題”を発見することも、良いユーザー体験を創出するためには必要な作業です。

6月3日に開催されたウェビナーでは、「医療業界が今知っておくべき『UXリサーチ』の重要性とは?」という内容にて、ポップインサイトカンパニーが提供する「UXリサーチ」と言われる、ユーザー視点での調査について説明していきました。

しかしながら、デジタルを積極活用し始めて数年の製薬業界においては、UXリサーチに馴染みのない方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、今回のセミナーダイジェストとして、ポップインサイトカンパニーのシニアUXリサーチャー 金山さんの講演内容を紹介していきます。

もう一度ウェビナーの振り返りをしたい方、ウェビナーに参加できなかった方も、こちらで再度内容を確認してみてください。

【1.UXリサーチ概論】 重要なのは、“体験ベース”である事

まず初めに、ソフトウェア開発やUX業界の経験も長い金山さんの経歴の紹介から始まり、UXリサーチの概論の説明に入っていきました。

そして、UXリサーチをする目的は、「ユーザーの価値観」、「ニーズを知るため」という目的があると語る金山さん。調査もマクロ視点・ミクロ視点に分かれるとして、大きく市場を捉えたマーケット調査がマクロ視点となります。一方でミクロ視点も重要であり、ユーザーに着目し、どんな目標をもって、どんな手段、どんな環境で、どんな作業をしているのか。このようにミクロ視点で調査することによって、ユーザーの実態を把握することができるとのこと。

また、この結果でユーザーの、「これが欲しい」、「こんな事をして欲しい」というニーズが掴めれば、それを解決するデザインに展開していくことができます。

調査の後は仮説作りに入っていきます。
仮説作りにはアプローチが3パターンあり、以下のように分かれています。

■探索型:仮説がない → 仮説を形成するという目的で調査をしていく。
■生成型:方向性は決まっているが、仮説が定まっていない → 仮説を構築する。
■検証型:構築した仮説が正しいか分からない → 仮説を検証する。

また、調査の型を3パターンのアプローチのどれかに必ずあてはめなければならないわけではなく、それぞれを組み合わせることで進めることも可能です。

【2.WebサイトUX分析】 仮説の検証時に大切なのは、「ユーザー目線」!

次に、UXリサーチをした結果、どのようにデザインに活かしていくのかを、ポップインサイトカンパニーのサイトを例に説明していきました。

UXの要素は「表層 → 骨格 → 構造 → 要件 → 戦略」の5つのレイヤーに分けて考えていくのがポイントとなります。

誰に向けてどんな価値を提供するのか? という戦略を立て、それに合わせて要件を洗い出し、全体構造はどうするか、Webサイトの画面のレイアウトや見た目をどうするか…というようにレイヤーごとの構造を積み上げていくイメージです。

以下からポップインサイトカンパニーのWebサイトを例に、レイヤーごとのポイントをまとめて紹介します。

■表層:
TOPページ(https://popinsight.jp/)のファーストビュー。
サービスについて問い合わせてほしい、UXリサーチの内製化サービス「UXRO」を知ってもらいたいので、赤色の目立つボタンを配置している。

■骨格:
どこのエリアにどんな情報があるのか? という枠組みで確認してみると、一番上にヘッダー(グローバルナビ)で会社情報や、何をしている企業なのかが分かる関連情報へファーストビューから見られるようにリンク付けがされている。その下にメインビジュアルがあり、会社のサービス内容や何をしている会社なのかを訴求している。これらが気になった方は、メインビジュアル内の「サービスについて問い合わせる」等のボタンからコンバージョンできる。そして、その下に各種コンテンツが続く。

■構造:
サイト訪問者の目的に合わせ、TOPページのグローバルナビの中に「サービス」、「導入事例」、「UXリサーチを学ぶ」、「セミナー」、「ブログ」、「会社情報」、「採用情報」…の情報を並べ、リンクできるようにしている。

■要件:
コンテンツが各ページの中でどのような情報や機能を提供しているのかを分析していく。
例えば、「サービス」のページからは、UXリサーチ支援やUXリサーチツールの情報が掲載されており、これらが気になる方には、より詳しく情報を見られるように、または問い合わせができる機能がある。「導入事例」では、事例に対してフィルタリングをして見られるようになっている…等。このようにして、機能や情報を洗い出していく。

■戦略:
この部分は抽象的ではあるが、最も重要。「誰の、どんな問題・悩みを、どのように解決するか」ということを検討する。
ポップインサイトカンパニーのTOPページでは、『UXリサーチを「継続的」「スピーディ」に実施する体制構築をご支援。』というテキストになっており、訪問してきたユーザーに「誰の、どんな問題・悩みを~」という部分を分かりやすく訴求している。
この戦略部分を基に、その他のレイヤーを積み上げていくイメージ。

また、ご説明した例はあくまでも「仮説」です。
検証時に大切なのは、「ユーザー目線」なので、ターゲットユーザーからのフィードバックをベースに構築・改善していくことを忘れないようにしましょう。

今回はポップインサイトカンパニーのサイトを例にご説明しましたが、これらの考え方を製薬会社のみなさまのサイト作りの考え方に反映してみてはいかがでしょうか。

【3.World Usability Day】 世界を“もっと便利に”するためのイベント

そして、アジェンダの最後は、「World Usability Day」についての紹介です。

こちらは、さまざまなテクノロジーの使い易さ(ユーザビリティ)を高め、世界をもっと便利にすることを目的に、2005年から毎年11月の第2木曜日に開催されている世界的イベントです。

今年の開催は、2022年11月10日(木)で、テーマは「私たちの健康(Our Health)」。SDGs の「目標3: すべての人に健康と福祉を」につなげていけるように、UXを使って健康的な生活を確保し、すべての年齢層の人々の幸福を促進するためにはどうすれば良いのか。これらは、医療業界だけではなく、全ての業界で共創していくという考え方を元に、情報を発信したり、意見を交換することが重要です。

昨年は、「オンラインを活用する世の中で、どのように信頼を構築していくか」がテーマとなっており、医療業界にも通じる内容となっていました。

※World Usability DayのWebサイト:
https://worldusabilityday.org/2022-theme-our-health/

質疑応答のご紹介

最後に、事前に頂いていた質問の回答と当日の参加者さまからの質問について回答を紹介していきます。

Q1.UXリサーチの対象者=パネル(ドクターや患者さん)はどう探せば良いでしょうか。

A1. 金山さん「ポップインサイトカンパニーでもパネルを持っておりますし、その他のパネル会社さんと協力しながら該当するドクターや患者さんを探しながら調査していきます。その中で、一般には存在しないパネルになる場合にはお医者さまや患者さん専門のパネルと連携しながらの調査となります。また、今後は調査の方法もオンラインを中心にしたものになってくるのではないかと思っています」

Q2.階層モデルは、他の分野に適応できますか。

A2. 金山さん「できます。ただし、機械の性能を上げたいというような場合にはマッチしません。ユーザー(人)に価値を提供するもの、人とのコミュニケーションが発生するような場合に適応します」

Q3.製薬会社がUXリサーチを活用するとして、どのような事例がありますか。

A3. 金山さん「現在のMRの活動でイメージすると、医療関係者と対面のコミュニケーションが取れなくなり、デジタルにシフトしつつあります。そうなると、医療関係者との接点はリアルで会うことから、メールやウェビナーにシフトしていくのではないかなと思います。その時に、どのようにご案内すると興味を持たれやすいか、コミュニケーションのやり取りはどうすればスムーズになるのか。そこはUXを取り入れた観点で検討していけるのではないかと。また、データドリブンなやり方とUXリサーチをつなぎ、“人”の部分を組み合わせながら調査して行くことが重要なのではないかと思います」

UXリサーチを取り入れて、最適なユーザー体験を提供!

MMではこれまでにもデータの重要性について言及することはありましたが、そこにリアルなユーザー目線を取り入れた「UXリサーチ」をプラスすることで、コミュニケーションの質を最大限に上げられる可能性を感じられたのではないでしょうか。また、ユーザーにとって価値あるWebサイトを提供するという意味でもUXリサーチをご活用いただければ幸いです。

ご紹介したように、ポップインサイトカンパニーでは、UXリサーチャーがリサーチ目的にあわせ、最適な調査・分析手法を用い、課題解決をサポートします。サービス内容に興味があるという方はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

■株式会社メンバーズ メンバーズメディカルマーケティングカンパニー
https://www.members-medical.co.jp/

■株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー
https://popinsight.jp/

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