【セミナーレポート】PopInsight x MM 共催ウェビナー 医療業界が今知っておくべき「UXリサーチ」の重要性とは?

製薬

公開日:2022.07.05
更新日:2025.06.11

大切なのはユーザー視点!医療業界が今知っておくべき「UXリサーチ」の重要性とは?

2022年6月3日に開催されたウェビナーのレポートをお届けします。メンバーズのカンパニー企業であるポップインサイトカンパニーのシニアUXリサーチャー、金山 豊浩さんをゲストに迎え、UXリサーチの概論やユーザー調査のアプローチ方法について説明しました。 UXリサーチに興味をお持ちの製薬会社の皆様、当日セミナーに参加できなかった方も、ぜひこちらのレポートをご確認ください。

ユーザー視点で本質的な課題を把握! 注目の「UXリサーチ」

近年、デジタルマーケティングを積極的に活用する各業界において、「UX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザー体験)」の重要性はますます高まっています。
特にWebサイトの制作や改修において、制作者側からは気づきにくい具体的な課題を発見することが、良質なユーザー体験の創出には不可欠です。

本ウェビナーでは、「医療業界が今知っておくべき『UXリサーチ』の重要性とは?」をテーマに、ポップインサイトカンパニーが提供する「UXリサーチ(ユーザー視点に立った調査)」について解説しました。

デジタル活用を始めたばかりの製薬業界では、UXリサーチにまだ馴染みのない方も多くいらっしゃるかもしれません。そうした方々に向けて、金山さんの講演内容をダイジェストでご紹介します。

【1.UXリサーチ概論】 重要なのは、“体験ベース”である事

UXリサーチ 概論(視点、アプローチ)
目的はユーザーと価値観・ニーズを知ること
マクロ視点ではマーケット調査、ミクロ視点ではユーザー調査(UXリサーチ)で目標・手段(環境・道具・作業)を把握する
そしてユーザー要求事項の明示をしてデザインへ落とし込む

まずは金山さんの豊富なソフトウェア開発・UX業界での経験に基づき、UXリサーチの基本的な考え方についてお話しいただきました。

UXリサーチの目的は、ユーザーの価値観やニーズを理解することにあります。調査には「マクロ視点(市場全体の把握)」と「ミクロ視点(個々のユーザー行動への着目)」の2軸があります。ミクロ視点では、ユーザーに着目し、どんな目標をもって、どんな手段、どんな環境で、どんな作業をしているのか、ミクロ視点で調査することによって、ユーザーの実態を把握することができます。

このようなリサーチによって、ユーザーの「こんなものが欲しい」「こうして欲しい」といった潜在的なニーズを明らかにし、解決策としてのデザインへとつなげていくことが可能になります。

調査のアプローチ。
検索型の仮説は未形成、目的は仮説形成。生成型の仮説は方向性あり、目的は仮説構築。検証型の仮説は構築済み、目的は仮説検証。

調査の後は仮説作りに入っていきます。
仮説作りにはアプローチが3パターンあり、以下のように分かれています。

■探索型:仮説がない → 仮説を形成するという目的で調査をしていく。
■生成型:方向性は決まっているが、仮説が定まっていない → 仮説を構築する。
■検証型:構築した仮説が正しいか分からない → 仮説を検証する。

また、調査の型を3パターンのアプローチのどれかに必ずあてはめなければならないわけではなく、それぞれを組み合わせることで進めることも可能です。

【2.WebサイトUX分析】 仮説の検証時に大切なのは、「ユーザー目線」!

ここでは、ポップインサイトカンパニーのWebサイトを例に、UXリサーチの結果をどのようにデザインへ活かしていくかを具体的に解説しました。

UX設計は以下の5つのレイヤーに分けて考えるのがポイントです。

1.表層:実際のデザイン・ビジュアル表現。
2.骨格:ページごとのレイアウトや要素の構成を決定。
3.構造:サイト全体のナビゲーションや情報配置を設計。
4.要件:戦略に基づき、必要な機能・情報を洗い出す。
5.戦略:誰に対して、どんな価値を、どのように提供するかを定義。

これらのレイヤーを重ねながら、「ユーザーにとっての最適な体験」を設計していくことが重要です。

以下からポップインサイトカンパニーのWebサイトを例に、レイヤーごとのポイントをまとめて紹介します。

PopInsightサイトのUX分析ではユーザー目線での検証が必要
表層部分では、PopInsightサイトを閲覧し、チームの一員として伴走してくれる、UXリサーチサービスを提供する会社なのかと認識する。
骨格部分では、一押しのサービスは、UXROなんだなと理解する。
構造部分では、サービスや導入事例を見てみようという気持ちになる。
要件部分では、どんなサービスがあるのか、導入実績の具体的な事例を知りたいと思う。
戦略部分では、UXリサーチを「継続的」「スピーディ」に実施する体制を構築したいと検討し始める。

1.表層:
TOPページ(https://popinsight.jp/)のファーストビュー。
サービスについて問い合わせてほしい、UXリサーチの内製化サービス「UXRO」を知ってもらいたいので、赤色の目立つボタンを配置している。

2.骨格:
どこのエリアにどんな情報があるのか? という枠組みで確認してみると、
一番上にヘッダー(グローバルナビ)で会社情報や、何をしている企業なのかが分かる関連情報へファーストビューから見られるようにリンク付けがされている。
その下にメインビジュアルがあり、会社のサービス内容や何をしている会社なのかを訴求している。これらが気になった方は、メインビジュアル内の「サービスについて問い合わせる」などのボタンからコンバージョンできる。そして、その下に各種コンテンツが続く。

3.構造
サイト訪問者の目的に合わせ、TOPページのグローバルナビの中に「サービス」、「導入事例」、「UXリサーチを学ぶ」、「セミナー」、「ブログ」、「会社情報」、「採用情報」…の情報を並べ、リンクできるようにしている。

4.要件:
コンテンツが各ページの中でどのような情報や機能を提供しているのかを分析していく。
例えば、「サービス」のページからは、UXリサーチ支援やUXリサーチツールの情報が掲載されており、これらが気になる方には、より詳しく情報を見られるように、または問い合わせができる機能がある。「導入事例」では、事例に対してフィルタリングをして見られるようになっている…など。
このようにして、機能や情報を洗い出していく。

5.戦略:
この部分は抽象的ではあるが、最も重要。「誰の、どんな問題・悩みを、どのように解決するか」ということを検討する。
ポップインサイトカンパニーのTOPページでは、『UXリサーチを「継続的」「スピーディ」に実施する体制構築をご支援。』というテキストになっており、訪問してきたユーザーに「誰の、どんな問題・悩みを~」という部分を分かりやすく訴求している。
この戦略部分を基に、その他のレイヤーを積み上げていくイメージ。

また、ご説明した例はあくまでも「仮説」です。
検証時に大切なのは、「ユーザー目線」なので、ターゲットユーザーからのフィードバックをベースに構築・改善していくことを忘れないようにしましょう。

今回はポップインサイトカンパニーのサイトを例にご説明しましたが、これらの考え方を製薬会社のみなさまのサイト作りの考え方に反映してみてはいかがでしょうか。

【3.World Usability Day】 世界を“もっと便利に”するためのイベント

テクノロジーのユーザビリティを高め世界をもっと便利に
World Usability Day 2022年11月10日木曜日Our Health私たちの健康

そして、アジェンダの最後は、「World Usability Day」についての紹介です。

こちらは、さまざまなテクノロジーの使い易さ(ユーザビリティ)を高め、世界をもっと便利にすることを目的に、2005年から毎年11月の第2木曜日に開催されている世界的イベントです。

2022年11月10日(木)に開催された過去のイベントのテーマは「私たちの健康(Our Health)」。SDGs の「目標3: すべての人に健康と福祉を」につなげていけるように、UXを使って健康的な生活を確保し、すべての年齢層の人々の幸福を促進するためにはどうすれば良いのか、について議論が交わされました。イベントでは医療業界だけではなく、全ての業界で共創していくという考え方を元に、情報を発信したり、意見を交換することが重要とされておりました。

2021年は、「オンラインを活用する世の中で、どのように信頼を構築していくか」がテーマとなっており、医療業界にも通じる内容となっていました。

※World Usability DayのWebサイト:
https://worldusabilityday.org/2022-theme-our-health/

質疑応答のご紹介

最後に、事前に頂いていた質問の回答と当日の参加者さまからの質問について回答を紹介していきます。

Q1.UXリサーチの対象者=パネル(ドクターや患者さん)はどう探せば良いでしょうか。

ポップインサイトカンパニーでもパネルを持っておりますし、その他のパネル会社さんと協力しながら該当するドクターや患者さんを探しながら調査していきます。その中で、一般には存在しないパネルになる場合にはお医者さまや患者さん専門のパネルと連携しながらの調査となります。

また、今後は調査の方法もオンラインを中心にしたものになってくるのではないかと思っています

Q2.階層モデルは、他の分野に適応できますか。

できます。ただし、機械の性能を上げたいというような場合にはマッチしません。
ユーザー(人)に価値を提供するもの、人とのコミュニケーションが発生するような場合に適応します

Q3.製薬会社がUXリサーチを活用するとして、どのような事例がありますか。

現在のMRの活動でイメージすると、医療関係者と対面のコミュニケーションが取れなくなり、デジタルにシフトしつつあります。そうなると、医療関係者との接点はリアルで会うことから、メールやウェビナーにシフトしていくのではないかなと思います。その時に、どのようにご案内すると興味を持たれやすいか、コミュニケーションのやり取りはどうすればスムーズになるのか。そこはUXを取り入れた観点で検討していけるのではないかと。

また、データドリブンなやり方とUXリサーチをつなぎ、“人”の部分を組み合わせながら調査して行くことが重要なのではないかと思います

UXリサーチを取り入れて、最適なユーザー体験を提供!

MMではこれまでにもデータの重要性について言及することはありましたが、そこにリアルなユーザー目線を取り入れた「UXリサーチ」をプラスすることで、コミュニケーションの質を最大限に上げられる可能性を感じられたのではないでしょうか。また、ユーザーにとって価値あるWebサイトを提供するという意味でもUXリサーチをご活用いただければ幸いです。

ご紹介したように、ポップインサイトカンパニーでは、UXリサーチャーがリサーチ目的にあわせ、最適な調査・分析手法を用い、課題解決をサポートします。サービス内容に興味があるという方はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

■株式会社メンバーズ メンバーズメディカルマーケティングカンパニー
https://www.members-medical.co.jp/

■株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー
https://popinsight.jp/

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