社長が語る、医療業界のデジタルシフト! 製薬企業MRのハイブリッド化や内製化が必要な理由とは?

インタビュー

2021.12.21

みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、MMのカンパニー社長 長野さんに、今後の医療業界のデジタルシフトに必要な事について語ってもらいました。また、長野さんはメンバーズのDXプロデューサーも兼任しており、その他の業界のDX事情もリアルタイムで把握しています。そんな中、医療業界のデジタルシフトはどのような状況にあるのか。自社のデジタルシフトのヒントにもなるかもしれませんので、サービスのデジタル化やDXに興味がある方もご覧ください。

マインドチェンジが起きた製薬業界。これからはハイブリッドMRが活躍する時代へ突入!

――MM創設以来、一貫して医療・製薬業界のデジタルマーケティングに挑んできましたが、新型コロナの流行が重なったこの数年、大きく変わったと感じるところはありますか?

長野さん:
「1つはデジタルへの前向きさではないでしょうか。この数年、世の中的にはデジタルが全盛ということでしたけれど、医療業界では自分たちのビジネスにデジタルをどう活用していくのかというのが、あまりなかったように見受けられました。あくまでもメインはMRさんが医療従事者にコミュニケーションをとるというのが、ほぼ100%の主軸。おまけでデジタルがあるだけで、あってもなくても良いぐらいの感覚でした。それが新型コロナウイルスの流行によってドクターに物理的に会えなくなり、デジタルを使ってみようという流れになった。そして、使ってみたら意外に受け入れられた、と。これまでは製薬会社の懸念として『ドクターに受け入れられないのではないか?』というものがあり、変化が受け入れられにくい業界の体質上、踏み切れなかったわけです。そこへ、コロナウイルスの影響で強制的にデジタルを受け入れなくてはならなくなり、製薬会社、医療従事者、どちらもマインドチェンジが起こり、一気にデジタル化が進んだ印象です」

――1つの事例として、ウェビナーの導入などはコロナ禍で随分広まったというニュースが多い印象です。従来のMRがしていた医療機関への訪問は今後どうなっていくと考えていますか?

長野さん:
「戻ると思います。MRさんの医療機関への訪問も増えると思います」

――意外ですね。医療業界のアンケート調査などでは、戻らないという意見も多いと思うのですが…。

長野さん:
「これは例えですが。新型コロナが流行し、オンラインの飲み会なども流行りましたが、結局、最初だけでしたよね。やはり、リアルの方が良いということを感じているのではないかと思います。WEBも便利なのですが、それがall or nothing ではないというか。WEBの活用によって距離の制約がなくなり、ウェビナー等で面談の頻度が上げられるようになりました。でも、それをドクター側が受け入れるかどうかという点は変わりません。リアル、WEB、それぞれを上手く使ってハイブリッドでやっていけるかが課題なのではないでしょうか。ただ、MRの活動量も、ある程度はコロナ流行前には戻ると予測していますが、全く同じ状況には戻らないと思っています」

――お客さまからのデジタル化の相談は、どのような内容が多いのでしょう。

長野さん:
「デジタル技術でどうにかしたい…というものより、医療従事者とのコミュニケーションに困っている、というような、ざっくりとしたご相談が多いです。課題はあるけれど、どうして良いか分からないというようなものですね。ある程度デジタルリテラシーが高い方が社内にいらっしゃれば、『WEBサイトのコンテンツを充実させることが必要』というような手段が見えたり、何かにトライして失敗したりできるのですが。ただ、それを具体的にどう進めるかということになると、やはり人手や技術が足りないというような話にはなります」

――ということは、部分的・一時的なサポートではなく、デジタル化に関わる全体像を把握しながらプロジェクトに参画する方がお客さまにも、MMのメンバーにとってもメリットがある…というようなことでしょうか。

長野さん:
「これまでシステム面については『ウォーターフォール型』と呼ばれる開発手法で、要件をきちんと決め、その通りに作るというものが殆どでした。新規サイトを立ち上げる時はウォーターフォールも良いのですが、欠点も持っています。それは、時代の変化に合わせることや柔軟性に欠けてしまうという点です。そのため、今の開発手法は『アジャイル型』に移行しつつあります。アジャイル開発はウォーターフォールとは正反対の開発手法(短期間で変更や改修を繰り返す)なため、我々は請負という形ではなく、準委任契約で社員をクライアント企業に常駐させて常に改善をしていきます。そうでなければ細かい単位での機能改善などに間に合わなくなってしまうためです。メンバーズもそれに則って、常駐型でアジャイル開発を推奨していきたいと考えています」

日本のIT人材は慢性的に不足。総合的な対応ができるIT人材がお客さま企業を支える力に。

――そのような理由もあって、常駐型を推奨していたのですね。

長野さん:
「実際、海外のIT人材の数や割合は全く違います。日本のIT人材というのはITベンダーに偏っています。アメリカなどでは企業の中にIT人材がおり、それはつまり、デジタル活用が経営戦略の一つだと考えているということ。成長を遂げる企業になるためには、日本も同じようにIT人材を企業の中に置くべきなのではないかと思います。しかし、日本はIT人材の絶対数も多くはありません。そのため、メンバーズが『あたかも社員』としてクライアント企業さまの中に常駐するという方法をお勧めしていました。それによって内製化の支援が可能になります」

――常駐型のメリットは何でしょうか?

長野さん:
「専任でお仕事をするので、メンバーズの社員がクライアント企業の内情にも詳しくなります。ということは、お客さまが新しく入ったメンバーに毎回プロジェクトの説明などをする手間が省け、いわゆるコミュニケーションコストをカットすることができます」

――では、実際にプロジェクトに参画した際、現場ではどのようなスキルを持った人材が足りないと感じますか?

長野さん:
「全体的にWEBに関する知見を持っている方がクライアントサイドでは不足しています。これは外注化の弊害とも言えますが。また、外資系のお客さまもいらっしゃるので、特に人事異動も多く、WEBもマーケティングも分からないままでプロジェクトに携わっている方もいます。ただ、これはお客さまの専門分野ではありませんので、WEBやマーケティングに関することを全部求めてしまうのも違うのではないかと思っています」

――ということは、お客さまの現場でデジタル人材はまだまだ揃っていないのですね。

長野さん:
「先ほども少し触れましたが、日本の企業経営者はデジタル人材の内製化を進めるべきと言われています。IT人材白書によると、米国ではIT人材の65%がIT企業以外(事業者側)に在籍し、IT企業(IT企業やITベンダー)に在籍する比率は35%と少数であるのに対し、日本では72%のIT人材がIT企業に在籍し、IT企業以外に在籍するIT人材の割合はわずか28%というデータになっています。また、単にデジタル人材を増やし、事業者側への転職者を増やすだけでなく、我々の立場で言えば、今後もより一層、内製に向いたデジタル人材の育成が重要と考えています」

――MMがお客さまのプロジェクトに参画した際、お客さまからはどのような点で喜ばれていますか?

長野さん:
「1つ目は、お客さまに寄り添っているという点。他社さまは、自社の特化したサービスに注力し、そうすることでサービスに対する深堀りをすることは出来ますが、関係部署とのやり取りやサービス運用など、横を繋ぐ点には対応していません。ここは従来、総合代理店などが受け持っていましたが、今は時代が変遷し始め、ギャップができ始めています。その点を、私たちが顧客理解をしながら『あたかも社員』として担当しているというところですね」

――確かに、お客さまの声などでも良くお聞きする部分ですね。

長野さん:
「2つ目は、主体性を持って働いているということ。運用という仕事は基本的に決められたものをこなす仕事ですが、そうではなく『ここに改善の余地があるのでは?』『こんな施策はどうでしょう』というような提案をしているという点ですね。それもあって、我々が起因で契約が終了するということはほとんどないです」

――それだけ、クライアントさまに必要とされているとも言えるのではないでしょうか。

長野さん:
「実は、私自身が営業をするうえで、お客さまから以前に依頼していたベンダーさんへの不満だった点などもお聞きすることがよくありました。それもあって、『じゃあ、我々はその逆の行動をしていこう』、『契約を継続したいベンダーであり続けよう』と意識していたこともあります。そういった経験から、自主的な提案やスピード感を意識した行動を徹底するよう、MMメンバーの行動指針としてまとめました」

―― その他、MMならではの評価されている点はありますか?

長野さん:
「業界特化であることですね。お客さまにイチから医療の専門知識について説明をして頂く必要がないということ。実績がない時代は我々も苦労しましたが、業界特化であることでプロジェクトを進めるうえでの『ブレ』が少なく済んでいます。例えば、スケジュールを引いた時もどこでスケジュールが延びやすいか(医療監修のチェックが入る)などが分かるので、無茶なスケジュールを立てることもありません。勘どころを掴み、精度の高いサービスを提供することができます」

時代の変化に合わせてデジタルを利活用し、お客さま企業の価値を上げていく事が私たちの使命!

――漠然とした問いになってしまいますが、これからの製薬企業には、何が必要と思われますか。

長野さん:
「我々の観点で言えば、デジタルでも強みを出していくという点ではないかと考えています。ユニークさとも言い換えられる部分ですが、商売の本質は『他社と何が違うのか』そして、『クライアントの何が解決できるのか』ということ。リアルマーケティングの時代は『いかにドクターに会いに行けたか』や、もちろん企業の『商品力』という事もありますが、そこにプラスして『デジタルでどうコミュニケーションが取れるのか』が強みになるのではないかと」

――やはり、デジタルの利活用なのですね。

長野さん:
「その分、大企業と中堅・中小企業の差は埋めて行きやすくなるとも考えています。大企業は人数を抱えているからこそできることがあった。でも、デジタルなら工夫次第でマンパワーを越えて補えるものがあると思います。規模に関わらないのが良い点です。だからこそ、外注ではなく内製化でスピード感を持ってデジタル対応をして行く必要があります」

――これからMMとして注力していきたいのはどんな分野でしょう。

長野さん:
「我々はWEBサイトやアプリケーションを作る企業とは考えていません。デジタルを活用する事務局人材として支援していきたいと考えています。メンバーズという1800名ほどの社員の中には、プロデューサー、ディレクター、データの分析、テクニカルを得意とする人材などが揃っています。それゆえ、この人材を使って総合的な支援が可能であることが強みです。お客さまに寄り添いながら、時代の変化に合わせて、お客さま企業の価値を上げていく。その点について、デジタル支援を通して実現していくのがメンバーズです」

――この先、もっと長期的な目で見た場合、MMとして医療業界、ひいては社会において実現したいことは何でしょうか?

長野さん:
「メンバーズという企業がやるべきことは、お客さま企業の課題解決を通して社会課題の解決をするということ。例えば、地方創生や少子高齢化社会への対応などです。また、我々が手掛けるDXも脱炭素社会の実現に繋がる施策です。製薬会社のケースで言えば、所在地が地方になればなるほど、車を使ったコミュニケーションが発生します。これをデジタルに置き換えるだけで脱炭素にも繋がります。そういったところから、少しずつでも着実に社会課題に働きかけていきたいと考えています」

――ありがとうございました!

みなさんも、これからのデジタルシフトに必要なことの輪郭が見えて来たのではないでしょうか。

引き続き、私たちも医療や製薬業界のデジタルシフトへの支援を続けながら、業界の現状をお伝えしていきます。

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