【コラム】医療のメタバース活用はどこまで進んでいるか? 他業界の活用事例や、AR/VR/MRも含めて比較調査!

コラム

公開日:2022.04.26

みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、Facebook社がMetaへと社名変更したことでも話題となった「メタバース」の事例などを調査してまとめてみました。近年ではVRやARなどの技術を使った専用ゴーグルを装着して楽しむゲームなどもありますが、さらにメタバースという先端技術を利用したサービスが導入されることで医療や生活がどのように変わるのか。その他の業界の事例も含めて紹介していくので、ぜひチェックしてみてください。

話題の「メタバース」を調査! 今後の医療・製薬業界での利活用にも注目

今回は、先端テクノロジーとして話題を集め、医療業界にも進出をし始めている「メタバース」を調査しました。「メタバース」については、アメリカの情報技術産業のビッグ・ファイブのひとつ、Facebookが会社名を2021年10月に「Meta(メタ)」に変更し、メタバース開発を事業の核に据えると発表したこともニュースになりました。この辺りから「メタバース」という単語について興味が沸いた方も多いかもしれません。

まずは、「メタバース」というテクノロジーの概要を調べてみました。

【そもそも<メタバース>とは何か?】

「メタ(超越)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語であり、バーチャル空間の一種。現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそれを使用したサービスのこと。例えば、アバター(自分の分身となるキャラクター)を使用したゲームやバーチャルオフィス、会議やイベントへの参加などが可能になる。

こちらの説明からも想像がつくと思いますが、仮想空間を現実的に利用される未来がかなり近づいていることを感じさせられる技術のようです。

そして、このテクノロジーが今後は社会や経済にも大きな影響を与えるのでは、という意味でも注目を集めていす。Facebook社が提供した『Facebook』では、SNSを通じた人と人のコミュニケーションに強力なインパクトを与えましたが、メタバースは没入感のある仮想空間を使用することによって、さらに社会や経済活動を変化させうる要素になるかもしれません。

これまでは『あつまれ どうぶつの森』や『マインクラフト』のように、オンラインゲーム等を中心に活用されていた仮想空間ですが、今後は社会全体においても活用シーンは広がりを見せると予測され、2024年には市場が約90兆円規模にまで到達するといわれています。また、混同されやすい「VR」や「AR」、「MR」などとの違いも押さえつつ、医療やその他の業界での活用が見込まれるメタバースの事例についてチェックしていきましょう。

「AR」や「VR」、「MR」はどんな技術?

ゲーム好きな人は近年、VRゴーグルを装着してゲームを楽しんだりすることが当たり前になってきているのではないでしょうか。当ブログでも、手術のシミュレーションや創薬の分野でもVRやARが活用されていると紹介したこともありますが、バーチャルな空間を使用していることでメタバースとも混同されやすい技術です。

以下からVRやAR、MRなども含め、一つひとつの技術を解説していきます。

■AR(Augmented Reality/拡張現実)

スマートフォンやタブレット型端末を使って肉眼で直接見ることができる現実の世界に重ねて、本来その現実空間に存在しない情報を表示する技術。例えば、サングラス型の専用ディスプレイを装着し、現実空間に3DCGや文字情報など仮想の情報を表示させることが可能。この技術を使用し、2020年8月、株式会社メディカロイドが国産初の手術支援ロボットシステム「hinotoriTM サージカルロボットシステム」の製造販売承認を取得している。

(使用例:手術支援ロボット、遠隔医療、位置情報ゲームアプリ『Pokémon GO』など)

■VR(Virtual Reality/仮想現実)

人間の感覚器官に働きかけ、現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術。ヘッドマウントディスプレイと呼ばれるゴーグル型のディスプレイを装着し、3DCG等で作られた仮想空間の中で実際に体を動かしたりする体験が可能。不動産会社でもVR内覧を取り入れており、現地まで行く時間を省略でき、複数物件の内覧もスムーズにできる。

(使用例:物件の内覧、旅・ショッピング体験、商談・接客の新人研修など)

■MR(Mixed Reality/複合現実)

VRとARの両方を合わせたような特徴がある技術。現実世界と仮想世界を複合・融合させ、相互にリアルタイムで影響し合う空間を構築する。専用のMRグラスというディスプレイを装着し、現実空間に3DCGや文字情報など仮想の情報を表示させることが可能。例えば、自動車の整備時に部品やコネクタの配置などを3Dで実車に重ね合わせ表示することで、2Dのマニュアルでは判断しにくい部品の位置などを正確に把握しながら点検や作業のトレーニングができる。

(使用例:車の整備・修理、手術前の患部の確認や手術トレーニング、空間でのデザイン編集など)

医療・製薬業界でのVR/AR/MRやメタバース活用を調査! 新しいサービスで医療はどう変わる?

医療・製薬の分野でも先端技術を用いたサービスがリリースされています。既に取り入れられていたり、実証実験が行われているケースも見受けられます。上記で説明したVR/AR/MR、そして、注目のメタバースを使用することでどのようなことが実現できるようになっていくのかを、いくつかの事例で紹介していきます。

医療の分野では主に手術やリハビリテーションなどの訓練に使われているケースが多く、製薬ではドクターやMRのコミュニケーションの場面での使用が見られますが、これはまだ一例であり、今後はメタバースも取り入れられ、さらに活用シーンが広がって行くのではないかと考えられます。

【AR】

■ダットジャパン株式会社:
遠隔支援ツール「どこでも君・医療(仮称)」の実証実験を開始。コロナ禍によって重要度を増した遠隔画像診断支援と高度化・多様化する医療画像処理装置の操作習熟のための教育支援を目的に、最新のAR技術を用いた最適な遠隔支援システムの構築を目指している。

■ライカマイクロシステムズ株式会社:
「GLOW800 拡張現実(AR)蛍光システム」によって脳血管領域のあらゆる情報を網羅することができる。リアルタイムの血流画像によって拡張された、自然な色での大脳構造画像を見ることが可能になる。さらに、深奥部の視認性にすぐれ、暗い周辺部がないため、クリアな空間感覚が得られ、血管の処置に役立つ。

【VR】

■株式会社 mediVR:
リハビリテーションをサポートするための医療機器「mediVRカグラ」を使用し、仮想空間上の狙った位置に手を伸ばす動作(リーチング)を繰り返すことで、姿勢バランスや二重課題型の認知処理機能を鍛えることができる。

■イマクリエイト株式会社:
筋肉注射手技学習のバーチャルトレーニング教材「VRワクチン注射シミュレーター」。シミュレーターで筋肉注射の手順をVR内に表示される手本に沿って行うだけで感覚的に身につけることができる。座学や資料を用いて行う事前学習に加えることで、手順の間違いや漏れの防止が期待される。

【MR】

■日本マイクロソフト株式会社:
長崎大学、五島中央病院、長崎県、五島市、マイクロソフトが連携し、関節リウマチ患者を対象とした遠隔医療の実用化に向けて、Mixed Reality を活用した国内初のシステムとして、長崎大学関節リウマチ遠隔医療システム「NURAS(ニューラス)」を開発し、実証実験を開始した。NURAS は、専門医過疎地域である離島・へき地など遠隔地にいる患者がMixed Reality などの活用により、リウマチ専門医による遠隔医療診療をこれまでよりも高い精度で受けることが可能となる。

【メタバース】

■アステラス製薬:
医療関係者との新しい双方向コミュニケーションの実現を目指すとして、仮想空間上での研究会・講演会を実施。2022年1月より Phase1のパイロットを開始中。

■株式会社comatsuna:
メタバースクリニックを開始。メタバースを利用した医師による、お悩み相談、自助グループ、座談会等を開催するサービス。

■Holoeyes株式会社:
「Holoeyes」は、XR (Extended Reality: VR/AR/MRの総称)技術とウェアラブル端末を活用し、医用画像と医師の動作をクラウドで自動解析し、仮想世界と現実世界を融合した医療メタバースにて、新たな医療体験とコミュニケーション環境をつくり出すデータサービスを提供。

その他業界のメタバース参入を調査!

Facebook社がMetaに社名を変更したように、特に大企業やIT・デジタル技術系の企業はメタバースに着目しており、大きな予算を投入したり、開発に着手しています。医療業界以外でもメタバースに参入している企業をいくつかピックアップしてみました。

■株式会社ジャパンディスプレイ:
VRパネルを製造する製造業の経験を活かし、製造業に不可欠な安全教育、オペレーションの教育をベースとしてVRを使った訓練・教育のソリューションをメタバースの中で誰もが体験でき、効率的に学べる環境作りをしている。省スペースで煩わしい訓練の準備が不要、手軽に好きな時間に臨場感のある訓練が可能というメリットもある。

■株式会社Shiftall:
今年の1月に超高解像度・超軽量のVRヘッドセット「MeganeX」など、メタバース向け製品3種を発表し、本格的にメタバース事業へと参入。「MeganeX」のほか、パーソナル・エアコンのウェアラブル冷温デバイス「Pebble Feel」、自分の声を周りに聞こえにくくする、メタバース対応音漏れ防止機能付きマイク「mutalk」は、パナソニックと協業開発し、Shiftall製品として発売するという。

■メタ・プラットフォームズ:
昨年9月時点で、仮想空間「メタバース」について、今後2年間で約55億円(5000万ドル)を投資することが発表されている。既に2019年にソーシャルVR「Facebook Horizon」を発表した他、21年8月にVR空間で集まって仕事ができるバーチャル会議室「Horizon Workrooms」の提供を始めるなど、メタバースの構築に向けた取り組みを進めている。

■グリー株式会社:
昨年8月、子会社のREALITY株式会社を中心としてメタバース事業に参入することを発表。2-3年で100億円規模の事業投資を行い、グローバルで数億ユーザーを目指しているという。既にリリースされている、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」が提供してきた体験に加え、仮想空間を自身の手で創造・拡張し、オリジナルアイテムの作成や販売を通じて現実世界の収入を得られるクリエイターエコノミーの実現を目指し、それに伴い開発者200名強の採用を計画、全職種で人材採用を進めていくという。

今後はメタバースの活用に期待! テクノロジーの進化が健康を支える未来がやって来る

最近では、ドコモの人「人間拡張技術(人間の身体能力や知覚等を拡張することが可能)」を表現したCMも流れており、「スキルをダウンロード」というセリフに驚かされた方も多いのではないでしょうか。今回特集したメタバースも含め、人とデジタルが融合した社会が間近に迫っていることを感じさせられるようになってきました。医療分野においても、最先端技術を駆使した医療の発展にも期待していきましょう。 MMも製薬会社さまのDX等、デジタル支援に取り組む企業として、今後も先進事例を調査していきます。