今注目のDX「内製化」そのメリット・デメリットや他社事例をご紹介

DX事例

公開日:2022.01.11
更新日:2024.08.04

高速なPDCA運用を可能にする「内製化」

システムの内製化は、いくつかの大企業のIT開発では既に取り入れられ始めていますが、これからの時代に合った開発方法となっていく可能性があります。ぜひ、デジタル担当者さまは、内製化によって開発や企業の成長にもたらされるメリットがあることをチェックしてみてください。

DX内製化が注目される理由

現在、さまざまな業界でデジタル化が進む中、特に大企業では「内製化」の動きが注目されています。なぜ多くの企業が外注から内製化へとシフトを加速させているのでしょうか。その背景には、『IT人材白書』からも読み解けます。IT人材の在籍状況からも明らかなように、日本では外注に頼ってきたIT開発が効率化やコスト削減の観点から見直されていることが挙げられます。米国でのIT人材の配置を見ると、IT企業以外に65%が在籍しているのに対し、日本では72%がIT企業に在籍し、非IT企業への在籍は28%に留まっています。

このデータは、内製化のメリットを強く示唆しています。外注依存がもたらす弊害が顕在化する一方で、デジタルテクノロジーが企業成長の鍵を握る現代においては、システム開発の複雑化や事業要件の多様化が進み、外注では対応しきれない課題が増えています。例えば、ウェブサイト制作でも、単なるページ作成からシステム連携やデジタルマーケティング施策との統合が必要とされるようになり、その複雑さは一層増しています。

また、企業のDX推進や事業変革が求めるスピード感に合わせるためには、プロジェクトの柔軟性が必須です。外注では、プロジェクトの進行中に発生する要件の変更や納期の調整が困難である場合が多く、内製化することでこれらの問題に対応が可能になります。さらに、新型コロナウイルスの流行を契機に、多くの企業でDXが加速し、デジタル戦略の最適化が一層重要視されています。このような状況下で、ステークホルダー間の調整や事業部間の連携をスムーズに進めるためには、内製化が効果的です。

以上を踏まえると、外部委託(外注)で対応するよりも、内製化で対応する必要があることが感じ取れるのではないでしょうか。

これから、内製と外注、それぞれの比較をしていきます。

DX内製化のメリット・デメリット

外部委託から内製化に変更することで、どんなメリット(デメリット)があるのか。比較表と具体例で確認してみましょう。

     メリットデメリット
外注コストを変動費として管理できる。
請負契約にすることで、リスクを外部パートナーに負わせることができる。
意思決定に時間がかかり、過程での変更が難しい。また、過程がブラックボックス化することが多く、ノウハウの蓄積が難しい。
内製意思決定者がプロジェクトチームの中にいることで決断が早く、変化にも対応しやすい。事業理解とノウハウを蓄積することができる。自社でのリスクを負わなければならず、IT人材の採用・育成が必要。固定費がかかりボリュームの変化が大きい場合、コスト増になる。

<内製化のメリット具体例>

1. コスト削減

DXの内製化を進める最大の動機の一つがコスト削減です。外部委託に頼ることなく、社内リソースを活用することで、長期的には外注費用の削減に繋がります。内製化による直接的なコストの削減だけでなく、契約手続きや経理対応の削減など間接的な経済的効果にも繋がります。

2. コミュニケーション迅速化

社内完結で大きく改善が期待できるのがコミュニケーションの迅速化です。内製化によって、担当者間のやり取りの質やスピードが向上します。その結果、プロジェクトの進行速度や対応の柔軟性も高まり、最終的な成果の向上にも繋がります。

3. 事業理解

社内完結で大きく改善が期待できるのがコミュニケーションの迅速化です。内製化によって、担当者間の内製化によって事業の深い理解が促進されます。社内のメンバーが直接関与することで、外部に依存するよりも事業の核心部分に精通することが可能になります。これは、より効果的な意思決定を促進し、施策の質を高めることに直接寄与します。

4. ノウハウの蓄積

外部委託でブラックボックス化しやすかった業務のノウハウが、内製化により専門知識や成功や失敗の経験が社内に蓄積され、個人だけではなく会社全体の継続的なスキルアップが可能となります。

5. セキュリティ対策

最後に、セキュリティ対策の面でも内製化は大きなメリットをもたらします。顧客情報や企画書、従業員の個人情報などが社外に漏れるリスクを最小限に抑えることができ、より強固な情報保護体制を構築することが可能です。

これらの特徴をまとめると、変化に柔軟に対応できるチームが社内に構築されるところが内製化するメリットといえます。

デジタルマーケティングに特化した弊社独自の「内製化支援サービス」

デジタルマーケティングに特化した弊社独自の「内製化支援サービス」

上記で紹介した内製化のメリットを踏まえ、DX推進に行き詰まりを感じている方はぜひ、内製化を取り入れることも検討してみてはいかがでしょう。

しかし、内製化を直ぐに進められる環境がない、という企業や組織も多いかもしれません。

人材が揃わない、人材を教育する余裕がない等、内製化に踏み出せない事情もあるのでは? そんな企業さまに活用いただきたいのが、私たちメンバーズ独自の「内製化支援サービス」です。

メンバーズでは、デジタルの高度な専門性を持つ人材でチームを組み、準委任型(※)で開発を進めることが可能です。これによって柔軟でスピードあるプロジェクトのコントロールができます。

(※) 準委任契約:仕事の完成ではなく、業務時間や工数などの業務量に応じて報酬が支払われる(準委任でも成果に対して報酬を支払うケースもある)

■メンバーズの内製化支援には、「ユニークな提供価値」があります!

私たちは、クライアント企業さまの中で「あたかも社員」となり、成果向上型の運用支援を得意としています。要件の理解や内部組織の事情にも詳しくなるため、案件をスムーズに進捗させることができ、また、社員を育成させる環境が揃っているため、個人に依存しないスキルをつけた人材を提供できます。

内製化で対応していくことで、外注によってナレッジが引き継がれないというデメリットも解消できます。

そのほかにも、メンバーズの内製化を採用いただくことによって効果を上げているポイントは、「内製型」でありながらも「チーム型」「グロース型」を採用している部分にもあります。

【チーム型とは】

開発途中での創意工夫や最新技術の取り込みを行うためには、従来型の進め方(成果物の仕様を定義した上、納期遵守で遂行していく請負型のプロジェクト)では立ち行かなくなります。要件定義後の変更に柔軟に対応していくことを前提とする、または数週間~2ヶ月単位でのリリースを行っていく開発環境を求められる場合、チーム体制を構築することが必要になります。技術の進歩が早い現在では、主体性と創造性をもって変動要素に対応できるよう、プロデューサー・ディレクター・デザイナー・エンジニアなど複数の職種の体制をつくり、クライアント企業へ提供します。

【グロース型とは】

事業や競合環境の変化スピードに合わせ、継続的なコンテンツの追加・拡充や見直しなどのPDCAサイクルを回し、サイトのパフォーマンスを絶えず向上し続けることも運用などでは重要です。

私たちは「運用のメンバーズ」ならではのメソッドをもって、初期の適切なKGI/KPIの設定と継続的な見直し、定量的・定性的に検証していくスキームやフローの定義(運用設計)を行うことが可能です。

■スピーディーなDX推進を実現するチームの体制

メンバーズの内製化支援によって、私たちとクライアント企業のみなさまは、従来の「発注者・受託者」という関係ではなく、以下の図のようなイメージで知識・経験を持ったベンダーと共創関係を築くことでプロジェクトをより円滑に進められるようになります。

スピーディーなDX推進を実現するチームの体制

※「デジタルマーケティング領域における戦略的パートナシップのご提案 ver.1.1pptx.pptx」:メンバーズが目指す体制の図

内製化に取り組む大手企業4社の事例

内製化について説明してきましたが、すでに内製化を取り入れ、成功を収めている日本の企業もあります。デジタルに関する運用体制を見直したいと考えている企業は、これらの事例を参考にしてみるのも良いかもしれません。

■株式会社ファーストリテイリング

2020年7月、ファーストリテイリングは、自社開発のプラットフォームを稼働させている。このプラットフォームは、ものづくりから販売までEnd to Endで行うファーストリテイリングの商売全体の成長を速めるためのもの。自社で開発した「デジタルコマース」プラットフォームをグローバルで統一し、国や地域、ブランドの垣根を越えて、グローバルヘッドクォーターと各国・ブランドがつながることを目指す。

参考:株式会社ファーストリテイリング「グローバル統一デジタルコマースの基盤を自社で開発。全世界への展開を進める」

■株式会社カインズ

10月に発表された「カインズ・オフショア・ディベロップメントセンター」の立ち上げは、デジタル開発をスピードアップし、世界に通用するエンジニアの育成を目的に行われたもの。一般的なオフショア開発とは異なり、カインズ側がリーダーシップを持って海外のエンジニアと一緒に開発することでスキルアップやノウハウの蓄積につなげ、世界で通用するエンジニアへの成長も期待するとのこと。

参考:株式会社カインズ「カインズ・オフショア・ディベロップメントセンター」立ち上げ

■株式会社セブン&アイ・ホールディングス

従来、開発をすべてITベンダーに依存していたという株式会社セブン&アイ・ホールディングスも、今年7月に公表された新中期経営計画の「DX・金融戦略」には、2020年度に内製化開発に着手していたことが掲載されている。すでに2019年10月にはエンジニア専用の採用チームを立ち上げ、2021年6月までに約160人のIT/DX人材を中途採用した実績も。

参考:株式会社セブン&アイ・ホールディングス「新中期経営計画の公表について(2021 年 7 月 1 日)」(PDF)

■株式会社良品計画

2022年8月期~24年8月期の中期経営計画にて、デジタルの組織をプロ化することを発表。プロ人材を100名規模で採用し、ECを越えたデジタルサービスを開発し運営する組織へ転換するという。

参考:株式会社良品計画「中期経営計画 2022年8月期~24年8月期」(PDF)

DX内製化へ弊社の内製型チームの「協業体制」をご提案

DX内製化へ弊社の内製型チームの「協業体制」をご提案

デジタル環境がめまぐるしく変化している中では、それらの変化に対して臨機応変に対応できる組織づくりが必要です。

このような時代だからこそ、ご紹介してきた私たちの内製型チームの「協業体制」を活かしてみてはいかがでしょう。メンバーズなら、変化に柔軟に対応ができる人材・チームを製薬企業のみなさまへ提供し、DXプロジェクトを強力に推進することができます。

また、メンバーズには、DXに特化した「DXプロデューサー」も選出されています。

DXプロジェクトの知識・経験が豊富な彼らが、クライアントのみなさまの企業にて「あたかも社員」として常駐し、事前企画・設計段階から貴社の社員と同等のコミットメントをもって支援することが可能です。DXにお困りのデジタル担当者さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連資料のご紹介

【製薬業界向け】リスキリングにも繋がるデジタルマーケティングの内製化とは?

製薬業界各社、今後の戦略としてリスキリングも含めデジタル戦略⼈材の育成が重要なポイントとなってきております。そのような中、⾃社で運⽤をしているWebサイトに関して、実質的にベンダー会社様での運⽤に頼りきりになってしまっている状況が多々発⽣しています。

メンバーズメディカルマーケティングカンパニーでは、製薬会社様の内部にてデジタル戦略の実⾏までを担える⼈材をコンテンツの開発・運⽤を通じて内製化を⾏えるようご⽀援をいたします。
内製化を⾏うことにより下記のようなメリットを製薬会社様にもたらすことが可能です。

1. デジタル戦略・実⾏に関する知⾒の蓄積
2. 各社とのコミュニケーションコストの削減
3. 施策に対するPDCAを高速で回せる
4. リスキリングに対する取り組みとして人材育成をアピールできる

上記紹介内容は⼀部となっており、資料内にて他社の取り組みや事例を交えてご紹介しております。

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