【調査レポート】「治療用アプリ」の活用が始まる!?私たちの健康を支える、新たなデジタル治療をリサーチ!

コラム

2020.12.15

みなさん、こんにちは。広報担当です。

今回は、これから注目を集めていく「治療用アプリ」について紹介していきます。8月には、医療機器として薬事承認された日本初の「治療用アプリ」の発表もあり、これから私たちの生活の中でデジタル化され、取り入れられていく新たな治療方法となる可能性があります。

保険適用が開始され、費用的にも使いやすいものになれば、病気の治療や健康を維持するツールとしてスタンダードな活用も見込まれます。 現在リリースされているアプリの種類や新しいアプリの開発状況をご紹介します。

「治療用アプリ」は、オンライン診療に続く新たな治療の選択肢!

私たちの生活の中で、スマートフォンやタブレットは当たり前のように使用されています。それに伴い、これまでにも数多くのヘルスケアアプリが登場してきました。みなさんの中にも、ダイエットサポートや歩数計、睡眠記録を登録して眠りの質を管理するアプリケーションなどを使用した経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、ヘルスケアアプリのような単なる健康維持ではなく、デジタルの力を利用した治療、病気の治療のために活用される新しいアプリケーション(治療用アプリ)の現状を調査してみました。

「治療用アプリ」とは?

スマートフォンやタブレットにアプリケーションをダウンロードし、日常生活の中で患者が病気を治療するために使用するもの。ヘルスケアアプリとは異なり、医療機器に該当する。

治療用アプリを使用することによって、これまで医師が関わることが難しいとされていた診察外の時間帯における治療を実現できるようになる。アプリ上に蓄積されたデータのエビデンスに基づいて、個々の患者に最適なアドバイスを促したり、メッセージのやり取りをしながら患者をフォローしていくことができる。アプリの継続使用によって、通院時以外の行動や考え方の変化を引き起こすことで治療効果を出していく。

また、今年は新型コロナウイルスの流行によって、対面せずに診療をする「オンライン診療」にも一気に関心が集まりました。複数の製薬会社によってワクチン開発が進んでいる状況ではありますが、ウイルスの感染防止対策や新しい生活様式として、治療用アプリでの治療が新たな選択肢になる可能性もあります。

スマホやタブレットでの治療がスタンダードに!現在、提供中・開発中の「治療用アプリ」

現在日本でリリースされている治療用アプリや、開発中の治療用アプリについての状況を調査してみました。どのような依存症や疾患に対して治療用アプリが開発されているのか、みなさんもぜひチェックしてみてください。

【禁煙】株式会社CureApp「CureApp SC」

開発状況:医療機器として薬事承認済み。12月から公的医療保険が適用される。

機能:通院するまでの期間をアプリの個別化されたメッセージや動画で正しい生活習慣に導きながら治療。生活や行動からのアプローチによる「行動変容」で、禁煙の継続率を上げていく。

株式会社CureApp「CureApp SC(ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー)」

【減酒】株式会社CureApp

開発状況:依存症治療で国内を代表する国立病院機構久里浜医療センターと6月より共同研究開始。

機能:1日平均純アルコール摂取量が60gを超える多量飲酒者(男性60g+/日、女性40g+/日の純アルコール摂取)への心理的な支援。患者自身の飲酒を振り返り、多量飲酒に結びつく状況や感情、考えに気づき、飲酒欲求への対処スキルを獲得することで、不適切な飲酒習慣を修正していく。

株式会社CureApp「減酒支援アプリの共同研究を開始」

【2型糖尿病】株式会社 Save Medical、大日本住友製薬株式会社

開発状況:アプリの有効性および安全性を評価することを目的とした治験を8月から開始。

機能:糖尿病の非薬物療法の基本である生活習慣(食事・運動・体重)や指標(服薬・血圧・血糖値)などを患者自身がアプリに入力し、その情報に応じて行動変容の支援となるような自動メッセージを送付。通院までの期間の生活習慣の乱れや服薬不良を改善していく。

【2型糖尿病または予備群】エーテンラボ株式会社 習慣化アプリ「みんチャレ」

開発状況:HbA1c値(糖尿病の診断や管理に使われる指標)の変化を調査する臨床研究を10月に開始。男女60人をアプリ使用群と非使用群に分け、3か月後のHbA1c値の変化を測定する。

機能:専門家監修の元に作成された習慣化アプリ。同じ目標を持つ匿名5人でチームを組み、チャットで励まし合える。ダイエットやトレーニングだけでなく、勉強や趣味などのカテゴリーも存在する。

エーテンラボ 糖尿病改善サポートアプリ「みんチャレ」活用の臨床研究スタート

【うつ病】田辺三菱製薬

開発状況:9月より臨床試験を開始。京都大学と国立精神・神経医療研究センターとともにうつ病の治療用アプリとして、日本で初めての医療機器製造販売承認の取得をめざす。

機能:精神療法の一つ、認知行動療法にもとづく治療用アプリ。娯楽性や視覚的な工夫をこらしたアプリを抗うつ薬と併用して使用することで、抗うつ効果をさらに高めることが期待されている。

田辺三菱製薬「日本初のうつ病治療用医療機器アプリをめざして」

【小児のADHD(注意欠如・多動症)】塩野義製薬株式会社

開発状況:デジタル治療用アプリAKL-T01(米国での製品名:EndeavorRx™)が、世界初のゲームベースのデジタル治療として米国食品医薬品局(FDA)の承認取得、欧州においてはCEマークを取得。6歳~17歳のADHD患者を対象として、有効性と安全性を探索的に検討することを目的とした第II相臨床試験を実施中。

機能:スマートフォンやタブレットを操作するゲーム形式の治療法。患者は端末を通じ、個別に最適化された難易度のゲームを継続的に行うことで、認知機能において重要な役割を果たす脳の前頭前野を活性化し、症状を改善するように促す。

塩野義製薬株式会社「デジタル治療用アプリAKL-T01の米国における承認取得」

【服薬アドヒアランス】PHC株式会社、JCRファーマ株式会社 スマートフォンアプリケーションソフトウェア「めろん日記®」

開発状況:Android端末向けデジタルコンテンツとしてGoogle Playに公開中。

機能:成長ホルモン治療における服薬管理アプリ。電動式成長ホルモン製剤注入器「グロウジェクター®L」に対応。「グロウジェクター®L」に保存された成長ホルモン製剤の投与履歴を無線通信でスマートフォンに送信。手入力作業をせずに投与時間や投与回数を含む詳細な投与履歴の確認を簡単に実施できる。また、アプリ上でアバターを使ったコミュニケーションをすることで、治療対象となる年少患児の注射に対する恐怖心や嫌悪感等、注射に対する精神的な負担を軽減し、服薬アドヒアランスを向上させる。

PHC株式会社 プレスリリース:服薬アドヒアランスの向上を目指した、成長ホルモン治療における服薬管理アプリケーションソフトウェア「めろん日記®」の公開

海外はデジタル治療に積極的!国内外の治療用アプリ開発企業の動向をチェック!

上記の他にも、治療用アプリの開発へ参入していく企業は今後も出てくると思われます。また、海外では日本以上に多くの疾患に関する治療用アプリも開発されているようです。

デジタル治療の臨床試験支援

医薬品の開発支援を行うシミック株式会社は、デジタル医療を推進する研究開発型企業のサスメド株式会社のデジタルセラピューティクス(デジタル治療)を対象とした臨床試験⽀援サービスを開始したことを発表。

シミック株式会社、サスメド株式会社「シミック、サスメドの試験管理システムを採⽤したデジタルセラピューティクス対象の臨床試験⽀援サービスを開始」(PDF)

海外のデジタル治療

米国ではデジタル治療のスタートアップ企業が多く、慢性疾患を中心にデジタル治療の開発が進んでいる。市場規模も広がっていくと予想されており、神経学的疾患や消化器疾患などのデジタル治療にも対処しようとしている。 北米では2010年に既にデジタル治療が登場していた。デジタルヘルス企業のWelldoc社が開発した「BlueStar」という糖尿病患者向けの治療補助アプリは、アプリ単体として糖尿病治療の改善効果を認められており、医師によるモバイルアプリの処方がすでに実現している。

医師、患者、それぞれがデジタル治療とどう付き合っていくかを考える!

日本は治療用アプリの開発に取り組み始めたばかりです。新たな治療方法として患者へ勧めたい医師、通院から治療用アプリへ切り替えたいという患者さんもいらっしゃると思います。しかし、便利な点だけに注目せず、それぞれの特徴を把握し、取り入れるべきかを考えた方がよいでしょう。

治療用アプリのメリットとデメリットが何になるのか、考えられる状況を挙げてみました。

患者側の「メリット」

  • ・スマートフォンやタブレットから治療に取り組めるため、通院時間や通院費用の負担が減る。
  • ・通院に抵抗がある、または、時間が取れない患者さんでも気軽に治療に取り組める。

患者側の「デメリット」

  • ・治療を中断しやすい。(アプリを習慣的に使うことができなかった等の患者側の要因、UIが使いにくい、スマートフォンが壊れた等のアプリや機器側の要因、複数の事象が考えられる。)
  • ・アプリのアップデートを忘れて、必要な機能が使えない、新機能が追加されない。

医師側の「メリット」

  • ・治療用アプリが医師に変わって対応をすることで、医師の診察時間に余裕ができる。
  • ・急激に症状が変わることがない疾患や慢性疾患と相性が良い治療法。他の同じような疾患にも展開できる可能性がある。
  • ・アプリを通じたデータが収集できる。治療データを蓄積して、他の治療などに繋げられる。
  • ・薬を処方していないので、副作用が出にくい。

医師側の「デメリット」

  • ・対応できる病気が限られる。
  • ・アプリのアップデートやメンテナンスのための人材や時間、コストが必要になる。
  • ・診療報酬が適切なものになるか。(CureAppの禁煙治療向けスマートフォンアプリのように、保険適用が可能となれば、収益が安定する可能性もある。)

提供する側も使う側もまだ初期段階です。新たな治療の選択肢とするならば、メリット&デメリットを受け入れ、自分と相性の良いアプリや治療法を選びましょう。

医師がアプリを処方する未来も近い!今後も進化する治療用アプリに注目

新型コロナウイルスの流行によって「通院するのが当たり前」という常識が、一年も経たない間に大きく変わってしまいました。この先の未来、ウイルス流行が収まった時には「治療用アプリ」が治療の選択肢として残る可能性は十分にあります。

さらに、アプリを通した治療は少子高齢化の時代を迎える私たちの生活の中で、医療従事者と患者、双方の負担を軽減する施策になることも考えられます。また、私たち一人ひとりが新しい治療の選択肢を知ることも、ヘルスリテラシーを上げることに繋がっていくのではないでしょうか。

今後、どのような病気の治療の可能性を広げる「治療用アプリ」がリリースされていくのか。私たちも引き続き、最新情報のリサーチを続けていきます。

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