【コラム】予防医療で日本の医療環境を整えよう! 治療より健康な体作りで健康寿命の延伸を

コラム

公開日:2022.02.16
更新日:2024.06.04

みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、日本にも広まりつつある「予防医療」についてまとめてみました。少子高齢化社会となったいま、健康であることは何よりも大切にしなくてはならない事の一つであり、また、医療費が増大し続けると、私たちの健康保険料の負担も増えていくことも考えられます。

今後の医療の問題と真剣に向き合うためには、私たち一人ひとりが「予防医療」を取り入れていく必要があるのではないでしょうか。この機会に「予防医療」について学んでみましょう。

膨らみ続ける医療費! 年間40兆円超えの医療費によって保険料の負担も増加

現在の私たちは、国民皆保険制度によって高い水準で医療を受けることができる環境にあります。しかし、新型コロナの流行が始まり、一時は深刻な医療崩壊がニュースなどで取り上げられ、これまで当たり前に受けられた医療に対して常識が覆った方も多いのではないでしょうか。

また、以下の調査データは、ちょうど一年ぐらい前に厚生労働省によって調べられた「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査結果概要」です。この結果によると、ウイルスの流行期には、多くの方が医療機関へ行くことに対して不便さを感じていたことが分かります。

※参考:厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部精神・障害保健課
新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査結果概要について

https://www.mhlw.go.jp/content/12205000/syousai.pdf

○ 調 査 期 間:令和2年9月 11 日(金)~9月 14 日(月)
○ 調 査 対 象:一般の方々(15 歳以上)
○ 調 査 方 法:インターネットによる調査
○ 調 査 委 託 先:株式会社インテージリサーチ
○ 回収サンプル:10,981 件

単なる受診控えが起きていた、ということだけであれば良いかもしれませんが、実はこの時期に医療機関の受診や検診控えなども増えていたことで、今後は見逃していた病気が発覚したり、持病などが重症化した状態になっていることも考えられます。

この流れが続く中で少子高齢化社会が進み、新型コロナの影響が長引くことで医療費の問題は長期化が予想されます。これらを食い止めるには、私たち一人ひとりの健康意識(=ヘルスリテラシー)を高めつつ、「予防」をしていくことが重要になってきます。

また、ここで前提となって来るのが、日本の従来の病院の在り方や個人の健康に対する考え方が「対処療法」であったこと。これまでは、医療機関も患者さん自身も「病気が判明したから」、「痛みや症状があるから…」で治療をしてきました。今後はこの流れを変え、病気の症状が出る前に個人個人が身体を健康に保つという管理の仕方へシフトしていくことで、治療費を抑えていくことが可能になります。

医療費について、具体的にどの程度負担をしているか気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。

【コラム】病院や疾病に関するデータをチェック!少子高齢化社会へ向かう日本の医療環境はどのように変化しているのか?

生活習慣病が増えたことも医療費圧迫の要因。海外でも多く取り入れられ始めた「予防医療」。

上記でお伝えしたように、病気が判明してから治療や介護が始まるというのが、これまでの日本の医療の在り方でした。少し前のデータですが、国の医療費の1/3を占めているのが生活習慣病関連であることが判明しています。

※参考:経済産業省「予防・健康づくりの意義と課題 (平成31年2月)」P.28
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/003_02_00.pdf

これは、戦後の高度経済成長期よりライフスタイルが大きく変化した影響もあるようです。人々の食生活が欧米化し、また、運動不足なども重なったことで現代人の死因はがん・脳血管疾患・心疾患などに変わっています。

※参考:経済産業省「予防・健康づくりの意義と課題 (平成31年2月)」P.27
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/003_02_00.pdf

さらに、経済産業省「予防・健康づくりの意義と課題(平成31年2月)」で最初に触れられていたのは、以下の内容です。

『我が国の公的保険は、病気や要介護状態になってからの治療や介護が中心であり、保険給付費との単純な比較は困難だが、予防事業への支出は1~4%程度。また、企業や保険者の健康投資は大きな変化がない。先進国と比較しても、我が国の予防支出は低い水準。』

対処療法に頼ってきたということもあり、予防事業への支出が少ないという指摘がされています。そこで、先進国の事例を調査してみると、予防への投資や医療従事者への働きかけなどが進んでいることが判明しました。

■先進国事例:アメリカ

アメリカ医師会では2012年から、「ライフスタイル医学(Lifestyle Medicine)」が取り入れられている。

慢性疾患の増加、逼迫する医療費、生活習慣の悪化などを打破するために、科学的根拠に基づいた「ライフスタイル医学」の介入を、慢性疾患治療の第一段階として位置付け、15項目にわたる能力習得を全ての医師に求めている。また、ライフスタイル医学研究所では、研究成果の一つとして以下の「日常生活で実践すべき10のポイント」を推奨している。

〈日常生活で実践すべき10のポイント〉
1.リラックスを定期的に行う。
2.脂肪は減らす。
3.食事法に囚われることをやめる。
4.少しの減量が多大な効果をもたらす。
5.ゆっくり持続的に痩せるより、最初の段階でできるだけ痩せる。
6.毎日少しでも運動する。
7.昼寝よりも夜の睡眠を重視する。
8.認知行動療法を実践する。
9.スクリーンを見る時間を減らす。
10.生活の中にセルフケアを取り込む。

※参考:サライ.jp いま注目の「ライフスタイル医学」が明かす生活習慣10の秘訣【予防医療の最前線】
https://serai.jp/health/305933

■先進国事例:イギリス

イギリスはNHS(公的保健医療制度)が70周年を迎えた2018年を節目に、今後10年間における長期計画「NHS Long Term Plan」を作成。健康の社会的決定要因に目を向け、喫煙率の高さ、過度の飲酒、そして特に肥満が問題になっていることもあり、長期計画の1つに「予防に力を入れ、健康格差を是正する」という項目を掲げている。

〈健康格差を是正する取り組み〉
1.ホームレスへのアウトリーチ支援
2.妊婦の禁煙支援
3.学習障害や自閉症を持つ人々へのより手厚い支援
4.重度なメンタルヘルスを持つ人々の就労支援
5.がん検診を受けられていない人の受診率の向上 など

※参考:朝日新聞GLOBE「イギリスが手がける大がかりな医療制度改革、その全容は」
https://globe.asahi.com/article/14356741

■先進国事例:EC諸国

「EU健康サミット」において、欧州の健康の将来に関する共通ビジョンを取りまとめており、以下の項目を提言している。

〈健康の将来に関する共通ビジョン〉
1.予防のためのエビデンスに基づいた医療への投資・支援
2.健康寿命測定の標準化
3.医療ケアのベストプラクティス特定
4.医療制度改革と能力開発の支援
5.健康イノベーションフォーラム設立
6.地域や都市とのマルチステークホルダーパートナーシップ促進
7.欧州委員会における健康分野の副大統領設置
8.健康のための運営委員会の設置
9.健康研究における公民の協力
10.欧州の健康データ研究所の設立

※参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2040年における未来の健康・医療・福祉分野の重点分野に関する調査」
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000579.pdf

未来を見据えて取り組む「保健医療2035」。新しい健康の在り方を実践し、健康先進国へ!

今後は日本でも現在の医療システムを根本から変えていく必要があるとして、厚生労働省が提言する「保健医療2035」では、従来の保健医療制度の枠組みと発想を転換し、新たな社会システムとしての再構築を掲げています。

この中で、これまでの保健医療制度を規定してきた根底の価値規範を根本的に変え、目指す2035年に達成すべきビジョンを3つ提示しています。ビジョン単体だと少し分かりにくい表現もありますので、より具体的な取り組みを一部ピックアップして以下に掲載してみました。

■保健医療の価値を高める

 ・より良い医療をより安く享受できる

  健康増進や予防、診断、治療、疾病管理、介護、終末期(人生の最終段階)までが切れ目なく一貫性を持った保健医療として提供されている等。

 ・地域主体の保健医療に再編する

  日常生活圏域での保健医療ガバナンスが強化され、住民の理解・納得に基づく、地域ごとの実情に応じたサービスが提供されている等。

■主体的選択を社会で支える

 ・自らが受けるサービスを主体的に選択できる

  健康に対する知識や意識が向上、患者一人ひとりが自らの医療の選択に主体的に参加・協働している等。

 ・人々が健康になれる社会環境をつくり、健康なライフスタイルを支える

  地域包括ケアシステムを軸に「自然に健康になれる」コミュニティや社会が実現している等。

■日本が世界の保健医療をけん引する

 ・日本が国際健康危機(グローバル・ヘルス・セキュリティ)に対応できる保健医療システムを構築しグローバル連携において世界をリードしている

 ・世界の健康増進と格差是正を、日本の対外戦略の柱として据え、「健康長寿大国」として、日本の知見で世界を主導、ルールメイキングで主導的な地位を確立している

 ・日本が世界の保健医療エコシステムの形成をリードし、世界中の保健医療ニーズを持つ人々を受け入れるサービス拠点となり、世界中でネットワークされた保健医療の中核的存在となっている

さらに詳しい内容や保健医療において守るべき基本理念や価値観、求められる変革の方向性について検討したものは公式サイトにまとめられていますので、興味がある方は以下からご覧になってみてください。

・厚生労働省「保健医療2035」

省庁や団体の予防医療に役立つサイトで情報をチェック!

予防医療について説明してきましたが、この2年近く、新型コロナ流行以降の医療従事者のニュースなどを頻繁に見ていた方は、すでに予防医療の重要性を感じていたかもしれません。

予防医療として何をすればいいのか、具体的な情報を発信しているサイトも多数あります。身体全体の健康を維持することはもちろん、日本人に多い疾患の予防や特定の疾患に関する予防に関するWEBサイトもあります。そちらもチェックしつつ、自身や家族の健康にぜひ、お役立てください。

【予防医療に役立つサイト】

◆厚生労働省:上手な医療のかかり方

こちらのサイトは、上手な医療のかかり方に関する情報を随時発信している厚生労働省の公式ウェブサイト。「夜間・休日の病院検索」、「すぐに受診すべき子どもの症状」、「すぐに救急車を呼ぶべき症状」など、医療を受ける際にどうすればよいか、ということがシンプルでわかりやすく案内されている。

他にも、関連リンクから疾病に関する情報、医療相談のホットラインなども調べられる。

https://kakarikata.mhlw.go.jp/index.html

◆一般社団法人 予防医療普及協会

子宮頸がんや胃がん、大腸がん予防の啓発活動をしている協会。予防医療の普及に向けて協会メンバーとともに議論し、プロジェクト推進など参加できる「予防医療オンラインサロン」なども実施。

「予防医療検定」として、予防医療についての一般的な内容から専門的な内容まで、「知る」きっかけ、「行動する」きっかけとなる検定も受けられる。

https://yobolife.jp/about/

◆一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

生活習慣病に関する知識の普及、啓発活動をしている協会。生活習慣病は、国民医療費(一般診療医療費)の約3割、死亡者数の約5割を占める等、社会的にも大きな課題がある疾患。サイトにはリスクチェックや関連情報・ニュースなどが掲載されている。

http://www.seikatsusyukanbyo.com/

◆NHK健康チャンネル

健康に関する最先端の「確かで信頼できる医療・健康情報」が発信されている。医療・健康情報のスペシャリストが作る番組に基づく記事を掲載。また、症状や身体の部位別で検索し、それらに関する記事を探すことも出来る。

https://www.nhk.or.jp/kenko/

◆MSD製薬:予防医療.jp

予防医療そのものについての説明とともに、全国の自治体や企業・健保組合における健康増進活動の取り組みを紹介している。自治体や企業の具体的な取り組みを参考にしたい人にもおすすめ。

https://www.yobou-iryou.jp

予防医療から社会問題の解消へ! 医療費の増大を国民の健康でストップさせよう

現在もさまざまな省庁や団体、企業などで予防医療への取り組みが進んでいますが、私たちが日ごろから自身の健康を意識しながら生活するだけでも医療費の問題を解消へと近づけることができるのではないでしょうか。 そして、私たちも医療・健康に携わる企業として、多くの人の医療に対する考え方を「治療」から「予防」に向けられるよう、みなさまに役立てる情報を発信していきます。