
みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、大手製薬企業で取り組まれているカーボンニュートラルについての調査をしてみました。日本だけでなく世界規模で業界問わず多くの企業が取り組まれているのはなぜなのか、そして、大手製薬企業では具体的にどんな取り組みをしているのか。「脱炭素経営」に興味がある製薬企業さまは、ぜひご覧ください。
好循環を生む脱炭素経営!
今回から新シリーズとして、脱炭素経営を実施している製薬企業やヘルスケア企業をリサーチし、どのような取り組みを行っているかを紹介していきます。
昨今、業界問わずさまざまな企業が脱炭素経営に取り組んでいることをご存知の方も多いのではないでしょうか。脱炭素経営は、私たちメンバーズグループも実施している取り組みでもあります。
では始めに、「なぜ、脱炭素経営がこれほどまでに注目されているのか?」という点から説明していきましょう。
その理由は、企業が社会課題へ取り組み、事業を行いながら収益をあげていくことと同時に社会や地球環境を改善することが大きなビジネスチャンスとなるため。これまでの大量生産・大量消費の従来型のビジネスモデルから、循環型経済モデルへとサービスを転換し、事業活動を通じてより良き世界を目指すことが望まれています。また、社会や環境へ配慮する企業は、投資家や株価へも影響を与え、さらなるビジネスを生むきっかけにもなるのです。
これから脱炭素経営に取り組みたい、製薬企業ではどのような事例があるのか参考にしたい方は、ぜひチェックをしてみましょう。
製薬企業の取り組みをチェック!

<武田薬品工業株式会社>
2020年度の環境目標については、CO2排出量を2005年度時点に比べて33.7%削減するなど、目標を上回る成果を上げている。
【脱炭素への取り組み】
■会社全体:
2040年目標「バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成する」
⇒2025年までに…事業活動からGHG排出量を40%(2016年度比)削減、サプライヤーと協働して排出量を15%(2018年度比)削減。
⇒優先順位は「回避」、「削減」、「代替」、「相殺」の順。
「回避」…ビジネス上の意思決定がGHG排出量に及ぼす影響を評価。評価がより小さくなる取り組みを選択。
「削減」…排出を回避できない場合、エネルギー効率化及び、省エネルギー活動、または、業務の見直しを通じてGHG排出量を削減。
「代替」…排出を回避できない場合、従来型のエネルギー及び、テクノロジーに代えて、再生可能エネルギー、及び、低炭素テクノロジーを活用。
「相殺」…排出量を回避、削減、代替が出来ない場合、高品質なカーボンオフセットの購入を通じて残りのGHGを相殺する。
■工場:
全て再生可能エネルギーに由来した電力を使用。太陽光発電、高効率の機器の使用、使用エネルギーをデータにして「見える化」、分析して省エネにつながる取り組みへ。
■渉外活動:
日本気候リーダーズ・パートナーシップに参加。同じ志を持つ企業と協力して活動。環境省、経済産業省との対話~制作・制度の面からの脱炭素促進に働きかけている。
<大塚ホールディングス株式会社>
グローバルに事業を展開していくうえで、気候変動の問題は重大なリスクとして認識。脱炭素社会の実現に向け、パリ協定で定められた国際的な目標・指標に基づき事業バリューチェーン全体で温室効果ガスの排出量を削減、持続可能な社会の実現を目指している。
【脱炭素への取り組み】
■会社全体:
・「ネットゼロ」
⇒事業活動におけるすべての環境負荷をゼロにするという環境ビジョンがある。2028年までにCO2排出量50%削減(2017年比)に上方修正するとともに、RE100への参画、大塚グループ新電力(小売電気事業者)として新しい統合エネルギーサービス体制の構築も。
・2030年目標
⇒温室効果ガスの排出量を2017年比で30%削減。温室効果ガスの排出量を2017年比で20%削減。
・金融安定理事会の「気候関連財務情報開示タスクフォース」提言への賛同を表明。
⇒今後気候変動が事業にもたらすリスクや機会についての分析と対応を進める。
■海外事業:
インドネシアは、日本に次いでCO2排出量が多い。地熱発電由来のCO2フリー電力を導入することにより、インドネシア国内では、年間約60%のCO2排出量が削減される見込み。
<アステラス製薬株式会社>
世界の人々の健康に貢献する企業として、地球環境と調和した事業活動をしている。環境課題は企業経営の重要な要素であり、事業のすべての側面で配慮されている。経営計画2021で「サステナビリティ向上の取り組みを強化」を戦略目標の一つに掲げており、「環境(気候変動対策)」に優先的に取り組んでいる。
【脱炭素への取り組み】
■会社全体:環境に関する取り組みと情報開示
・2023年01月19日: 温室効果ガス排出量削減目標を改定しSBT(Science Based Targets)イニシアチブの承認を取得。
・環境行動計画(気候変動対策)<SBT認証済>
GHG排出量(スコープ1+2)を2030年度までに30%削減する(基準年:2015年度、 基準年の排出量:202千トン)
GHG排出量(スコープ3)を2030年度までに売上収益当り20%削減する(基準年:2015年度)
カーボンニュートラル以外も、さまざまなカテゴリ(エネルギー使用量の状況や資源の有効利用、環境汚染の防止etc)で積極的に情報開示を行っている 。
環境の未来を見据えた脱炭素経営でポジティブサイクルを!

今回ピックアップしたのは、国内の大手製薬企業の事例ですが、脱炭酸経営への取り組みは環境だけでなく、ステークホルダーからの評価がアップしたり、融資に繋がるというメリットもあります。各社のWebサイトには、さらに詳しく具体的な取り組みや数値が掲載されているので、チェックしてみましょう。
そして、冒頭でお伝えしたように、私たちメンバーズグループも脱炭素経営を推し進める企業です。昨年、メンバーズ専務執行役員はCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)に参加。世界の取り組みへと視野を広げています。現地レポートや、その後の有識者との対談を掲載したビジネスコラムもあるので、興味を持たれた方はこちらもご覧ください。
※エジプト開催の『COP27』現地視察で見えてきた日本と世界のズレ
※脱炭素時代にビジネス成果と脱炭素経営を同時に実現するためのビジネスコラム
「Members+ 経営x脱炭素 ビジネスコラム」