【コラム】無意識に顔を触る方は注意!効果的なインフルエンザ対策とは?

コラム

2020.02.28

みなさん、こんにちは。広報担当です。

この冬、すでにインフルエンザに罹ってしまった!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?3月ぐらいまでの時期は、インフルエンザの流行がニュースでも取り上げられることが多いですよね。今回は、インフルエンザにまつわる日本のデータや予防についてのお話をしていきます!

自分だけではなく、ご家族などのインフルエンザの予防にもつながりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

■マスクさえ着用すれば、予防になる!?

この季節になると、空気が乾燥してくるのと同時にインフルエンザが日本各地に流行していきます。マスク姿の人があちこちで見られるようになるのもこの季節ですね。

また、ニュースやワイドショー等での放送も多くなってきていますが、マスクは正しく使わなければインフルエンザを防ぐ効果はありません。

マスクを着用した446人の看護師での実験では、24%(※1)がインフルエンザに感染したという結果が出たそうです。よって、マスクを着用しても約4分の1の高確率で感染してしまうということ、また、マスクの効果が絶対ではないことが分かります。

さらに今、注目されているのは、ウィルスの付いた手で顔(鼻や口、目)に触れることで感染するという仕組みです。顔は無意識に触る方も多いので、意識して触らないようにするか、こまめに手洗いをすることで対策をしていきましょう。

■インフルエンザは、冬だけの風物詩?

そして、「インフルエンザ=冬の病気」のようなイメージがありますが、実はそうではありません。

インフルエンザのウィルスは一年中空気中にあるものですが、湿度が高い空気中では感染力が弱くなって流行に至らないだけ、なんです。しかも、 “日本では”、寒い時期に流行するということであって、世界という単位で見ると気象条件が異なる影響から流行の時期が異なってきます。

例えば、日本(北半球)が夏でも、南半球の国は冬なので、日本の暑い時期に他の国ではインフルエンザが流行っているということもあります。

■毎年流行していても、日本の死亡者数は他国に比べて少ない!

日本では冬に流行し、一時的に多くの方に感染するインフルエンザですが、他の国の患者数はどのようになっているのでしょう?例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。インフルエンザの初期は風邪のような症状が出ますが、重篤な症状になると死亡にも至る恐ろしい病気です。

また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、他の国との死亡者数を比較したデータによれば、インフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。

【新型インフルエンザ死亡率の国別比較】

出典:内閣官房新型インフルエンザ等対策室

■日本は、医療インフラが整っています

では、なぜ日本のインフルエンザ死亡者数がここまで少ないのでしょうか?そこには、日本の医療の環境や制度、人々の習慣が大きく関わっています。具体的には、以下の4つの要素が作用し合い、死亡率を下げる要因になっていると考えられます。

1.医療インフラ

日本には、国民皆保険制度があり、私たちは加入を義務付けられていますが、その制度によって安価で治療を受けることができます。

そして、2017年の調査(※2)によると、日本の病院数は世界で一番多いという数字が出ています。その数は2位の米国に比べてダントツに多く、その施設の中には、診療所、医院、クリニックの数は含んでいません。

私たちの身の回りの医療施設は、世界という単位で比較してもかなり多く、恵まれた環境にいるということが分かります。

2.早期発見

上記の内容にも繋がるところではありますが、私たちの多くは自身の身体に発熱などの異変が出たら、病院に行くという習慣があります。

当たり前のようにしていることですが、それによって症状が進むのを未然に防げているケースが多いことが考えられます。

3.早期治療

早い段階での抗インフルエンザウイルス剤の投与により、その後の回復に大きな効果を上げていることも理由の一つです。

4.治療レベルの高さ

医療インフラが整えられていることで、感染すれば重篤になりやすい基礎疾患を持つ患者が高い医療レベルで治療されていると考えられます。

■これからの季節、さらなる感染を防ぐには?

医療を取り巻く環境だけではなく、私たち自身の習慣が互いに作用しあうことによって、インフルエンザを重篤な症状まで進行するのを防いでいたことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

しかし、それでもなお、毎年の冬の流行は避けて通れない状況です。自身の感染予防と共に、周囲への感染拡大を防ぐためにできることを行動に移しましょう。

【自分でできる対策を】

手洗いやマスクなど、感染を防ぐ対策としてみなさんが当たり前に実行していることもありますよね。

引き続き、基本的な対策は取り続けるようにしましょう。

・手洗い(アルコールが有効)  ➡感染経路を断つ

・マスクの着用 ➡ウィルスを拡散させない。咳エチケットとして。

・予防接種  ➡予防接種率の向上

・温度・湿度の管理  ➡ウィルス増殖を抑える

・定期的な換気  ➡飛沫の除去

・人混み・繁華街を避ける  ➡接触機会の抑制

・バランスの取れた栄養摂取、十分な休養  ➡免疫力の向上

【インフルエンザに罹ってしまったら…】

予防のための対策をしても、インフルエンザに罹ってしまうことはあります。そんな時は、重症化を防ぐために早めの受診・服薬をするようにしてくださいね。そして、安静にして十分な睡眠をとること、水分の補給をして体力の回復を待ちましょう。

無理をして出社したり、登校してしまうと、周囲への感染を拡大させてしまうので、「熱も下がったし、元気になったから…」と自己判断せず、一定期間の外出や出勤は控えましょう。

【ヘルスリテラシーを上げるには?】

そして、感染を広げないため、重症化する患者を減らすためには、自分以外の他者へ知識をつけることや情報の共有が大切です。特に、二次感染による集団感染が起きる可能性がある環境にいる園児や小学校低学年の子どもたちのヘルスリテラシーを上げなくてはなりません。

感染予防の知識がないこと、病気について知らない子どもたちがたくさんいる状況は、知らない内に他者を感染させたり、または、他者から感染するリスクが高まってしまいます。たくさんの感染者を出す前に、ご家族が予防の大切さを教えてあげましょう。園児や小学校低学年の子どもたちは、予測される以上の感染者を出す“スーパー・スプレッダー”として、二次感染を引き起こす恐れもあります。

また、高齢者も罹患すると重症化するリスクを抱えていますので、周囲にいるご家族が気をつけてあげる必要性があります。

小さい子どもや高齢のご家族が他の施設で過ごす時間があるという方は、学校や幼稚園・保育園の先生、介護施設などのヘルパーさんへも感染拡大を防ぐための対策を伝えておくと良いでしょう。多くの人が集まる場所で、一人ひとりが高い意識をもって生活をすることによって感染を最小限に抑えることができます。

【情報の活用】

さらに、自分でできる予防のほかにも、最新の情報をチェックするのも大切です。

近頃新たに浸透し始めているのは、マスクの正しい付け方や外し方などでしょうか。ただ着用するだけでなく、顔とマスクの隙間に気を付けることや、外すときには表面を触らないようにする…など、感染を予防することにつながる情報もありますよね。

また、国立感染症研究所「インフルエンザ流行レベルマップ」では、警報や注意報が発表されているので、外出する際には、訪問先でインフルエンザがどれほど流行しているのかも確認するようにしましょう。

■自分や周囲のヘルスリテラシーを上げながら流行期を乗り切ろう!

いくつかの条件が重なり合った結果、他国に比べて日本のインフルエンザ患者の死亡率は低く、早い段階での治療がされていることが分かりました。

しかし、今も続いているインフルエンザの流行期(~3月ぐらいまで)は、受験や卒業式など、人生の中で大きなイベントが多いシーズンです。お子さまがいる家庭などは特にこの時期の感染は避けたいですよね。

上記でもお伝えしたように、感染予防のために高いヘルスリテラシーを持つことは重要です。そして、それは自分一人ではなく、たくさんの人が同じ思いで感染予防に努めることで、健康を保ちながらこの季節を乗り切ることができます。

メンバーズメディカルマーケティングでは、WEBサイトを通して患者さんやそのご家族の健康や医療リテラシーを上げることを目的として活動しています。

今後も一人でも多くの方の病気の悩みや疑問を分かりやすく解消できるサイト作りを通して、健康な社会づくりに貢献していきたいと考えています。

また、メンバーズメディカルマーケティングは、私たちの想いに賛同し、一緒に活動する仲間を募集しています。私たちの医療リテラシーへの取り組みに興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。

みなさまからのご応募を、心よりお待ちしております。

【参考文献・サイト】
(※1)
ニューズウィーク日本版「インフルエンザ予防の王道、マスクに実は効果なし?」
塩野義製薬「感染症TODAY」東南アジアにおけるインフルエンザの流行(PDF)
「人類と感染症の歴史」(加藤茂孝著)
(※2)
グローバルノート:世界の病院数 国別ランキング・推移
国立感染症研究所「インフルエンザ流行レベルマップ」