ヘルスケア産業の市場は活発化! ハイブリッド社会の実現に向けた各種サービスの拡大で健康寿命の延伸を目指す

コラム

2022.06.29

みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、ヘルスケア産業を種類別に調査し、各カテゴリ―ごとの市場規模やサービスの種類を紹介していきます。人生100年時代といわれるこれからの日本の暮らしでは、少子高齢化社会という課題に確実にぶつかるため、ヘルスケアサービスによる予防や早期診断・早期治療などの需要が高まっています。今後、巨大な市場となるヘルスケア産業についてチェックしてみましょう。

市場は拡大傾向のヘルスケア産業! 個人の健康意識を高めて生涯現役社会を実現

前回、ヘルスケア産業の概要を調査した記事に引き続き、今回はさらにヘルスケア産業の「分類」をテーマに、市場規模や具体的なサービスなどについても紹介していきます。

内容に入る前に、ヘルスケア産業の概要と市場規模を少し振り返ると、以下のような前提条件があります。

<2つの分類がある>
「健康維持や健康増進に寄与するもの」と「患者や要支援、要介護者を支援するもの」がある。

<市場規模は約33兆円>
2016年のデータを基に2025年には約33兆円規模になると推計されていたが、現状はさらに増えていると考えられる。

予防を基本とした医療へ転換したのは、疾病構造の変化によるもの

さらに、日本の疾病構造が変化しているということもヘルスケア産業が拡大していくことに大きく関わっています。戦後の疾病は感染症が中心でしたが、近年増加しつつある疾患は、主として老化(細胞劣化:内因性)や生活習慣、精神・神経の疾患です。2015年の医科診療費は、生活習慣病が全体の3分の1以上を占めていました。これは医療費問題に直結するものであるため、予防医療を始めとした「健康維持や健康増進に寄与するもの」に本格的に力を入れる必要があるということに繋がるものになります。

また、高齢化社会の中では、「患者や要支援、要介護者を支援するもの」も必須であり、市場規模は「健康維持や健康増進に寄与するもの」より大きくなっています。また、経済産業省も、生涯現役社会の構築に向けて65歳以上を“第二の社会活動期”として役割を持ち、生産年齢人口(15歳~64歳)以上の世代とともに、高齢者を病人にせず、経済活動への緩やかな参加を維持させるハイブリッド社会の実現を謳っています。

こちらを念頭におきつつ、ヘルスケア産業の各カテゴリーの内容やそれぞれの市場規模を見ていきましょう。

ヘルスケア産業のカテゴリーとは?

これから日本全体の課題となる少子高齢化社会において、ヘルスケアサービスは私たちの生活の中でも重要な役割を持つことになります。既にさまざまなサービスが登場していますが、今後は医療費を抑制し、人材不足などを解消するためのデジタルヘルス等のサービスが増えて行くと思われます。

ヘルスケア産業をカテゴライズすると、それらに紐づくサービスから私たちの生活の中での具体的な役割が見えてきます。どのようなカテゴリーがあるかを、経済産業省「次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について」を参考に「健康維持や健康増進に寄与するもの」と「患者や要支援、要介護者を支援するもの」で分けて分類していますので、以下でチェックしてみましょう。

ただし、この市場に関する調査は2018年のものとなりますので、新たに産業化された商品やサービス等は含まれていないため、直近でリリースされたものを含めればさらに市場が広がっている可能性があります。

※参考:経済産業省「次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について」

2025年の市場規模の推計! TOP3のカテゴリーは?

ヘルスケア産業には多くのカテゴリーがあるということは理解いただけたのではないでしょうか。また、これらを予算規模で並べてみると私たちの生活に密接しているヘルスケア産業も見えてくるかもしれません。さらに、2016年当時の市場から出した予測ではあるものの、全てのカテゴリーで市場規模は拡大していることが分かります。コロナ禍やDX推進によって他業界からの参入なども増えているので、ヘルスケア産業全体が拡大しているのは確かといえそうです。

こちらも、経済産業省「次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について」から、「健康維持や健康増進に寄与するもの」と「患者や要支援、要介護者を支援するもの」それぞれのカテゴリーから上位3位までのものを並べてみました。

【健康維持や健康増進に寄与するもの】
※全カテゴリーの2025年 市場規模推計: 約12.5兆円

・1位:食 … 4兆1,600億円

・2位:遊/学 … 3兆2,000億円

・3位:運動 … 1兆5,900億円

【患者や要支援、要介護者を支援するもの】
※全カテゴリーの2025年 市場規模推計: 約20.6兆円

・1位:要介護/支援者向け商品・サービス … 10兆8,600億円

・2位:保険 … 9兆3,600億円

・3位:疾患/介護共通商品・サービス … 2,300億円

また、「健康維持や健康増進に寄与するもの」のランキング上位には含まれていませんが、「知」に分類されるヘルスケアアプリなどは、市場規模が600億と他のカテゴリーより非常に少ないものの、2016年から比較すると300億から、2025年には600億になると予測されています。予算は2倍に増加しており、これは、他のどのカテゴリーにも見られない動きです。コロナ禍によってこの数年のうちに参入企業は増え、さまざまなアプリもリリースされていました。そのため、「知」に含まれるデジタルに関するサービスの予算投下はさらに増えていくと考えられます。

ヘルスケア産業の力で日本人の健康寿命を延伸!

巨大な市場となりつつある「ヘルスケア産業」をカテゴリー別で見ていくことによってカテゴリーごとの市場の規模感や参入が多いカテゴリーも理解できたのではないでしょうか。

また、近年ではデジタルを駆使したオンライン診療や治療アプリ等の「支える医療」も広がりを見せています。人生100年時代に向けたハイブリッド社会の実現も日本全国の重要課題であり、私たちとしてもミッションを推し進めるテクノロジーとして注目していきます。