【コラム】病院の種類を解説!総合病院や診療所、クリニックなどの役割を知って適切な医療を受けよう

コラム

2020.11.25

公開:2020年11月25日

みなさん、こんにちは。広報担当です。

今回は、医療の基礎知識をつけるためのコラムとして、病院の種類について説明していきます。

みなさんが住んでいる地域でも「○○病院」「××クリニック」「△△診療所」など、さまざまな看板が目に入るのではないでしょうか。 日本の病院数は世界一であり、特に都市部であれば患者側が医療機関を好きに選べるという恵まれた状況になっています。しかし、数が多くても種類や診療科については実は良く分かっていない、と方もいらっしゃると思います。ぜひ、その違いをチェックしていきましょう。

コンビニエンスストア店舗数の3倍以上!日本の医療施設の総数は世界一!

以前、ブログでも触れたことがありますが、日本は世界で一番病院が多い国です。

具体的な医療施設総数は 181,621 施設あり(令和元年10月1日現在)、この内「休止・1年以上休診中」の施設を除いた「活動中の施設」は、179,416 施設(医療施設総数の 98.8%)にのぼります。全国のコンビニエンスストアが55,852店舗という数を基準にすると、医療施設は3倍以上あるということになります。

また、歯科医院はコンビニエンスストアより多いと言われることもありますが、歯科医院の数は68,500施設となっており、意外にも病院より少ないのです。また、鍼灸院やマッサージ施設もよく見かけると思いますが、鍼灸院やマッサージの施設はなんと140,765施設。こちらの方が歯科医院以上に多いのです。上記の施設を合計すると384,181となり、いかに医療が身近にあるかということがわかります。

しかし、施設数は多いものの、平成28年版厚生労働白書のデータを見る限り、人口1,000人当たりの臨床医師数や、病床100床当たりの臨床医師数を諸外国と比較すると、その数は最も少ないのです。

人口1000人当たりの臨床医師数
ドイツ…4.1人
フランス…3.1人
英国…2.8人
アメリカ…2.6人
日本…2.3人

病床100床当たりの臨床医師数
英国…100.5人
アメリカ…85.2人
ドイツ…49.0人
フランス…48.7人
日本…17.1人

このことからも、施設が充実していながらも、人手が足りていないという現実が見えてきます。

引用:厚生労働省

今回は、日本全体が抱える医療の課題を「自分ごと化」するための初めの一歩として、病院の種類について紹介していきます。特に都市部であればクリニックや診療所もあちこちにあると思いますが、そもそも病院の種類はどのように分かれていて、何が違うのでしょう。

病院の種類を知ることによって、若い年齢の方や病院へ行くことが殆どない健康体の方にも、病院の存在を少しでも身近なものに感じてもらえればと考えています。

名前が違うと何が違う?病院やクリニック、診療所、それぞれの役割を紹介!

私たちの身の回りにある「病院」という施設は、そもそもどのような場所なのでしょうか。

医療法が定める医療施設の種類は、「病院」、「診療所」、「助産所」、「特定機能病院」、「地域医療支援病院」、「臨床研究中核病院」に区別されています。

また、みなさんがよく聞く医療施設の名称として「病院」だけではなく、「総合病院」「大病院」、「クリニック」や「医院」、「診療所」という名称もありますが、この定義は何でしょう。 以下から解説していきます。

「病院」
ケガ人や病人を収容して診断・治療する施設。複数の診療科と20以上の病床を持つ医療機関であり、主に入院治療を必要とする患者が対象。

「総合病院」
患者100人以上の収容施設を持ち、診療サービスに「内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科」を含んで、かつ「集中治療室、講義室、病理解剖室、研究室、化学、細菌及び病理の検査施設、その他諸々」の施設を持っていること。それらの条件を満たしたうえで、都道府県知事の承認を得た施設が「総合病院」として名乗ることが出来る。

「大病院」
病床数が200以上ある病院は、国から「大病院」に区分される。

「診療所」・「クリニック」・「医院」
医師または歯科医師が医業または歯科医業を行う場所。

無床、またはベッド数が19床以下で患者を入院させるための施設があり、主に外来患者の診察や治療をする。「診療所」、「クリニック」、「医院」は、施設に付けられる屋号であるため、それぞれの名称の定義は特になく、自由につける事が出来る。

「助産所」
助産師が公衆又は特定多数人のためその業務(病院又は診療所において行うものを除く)を行う場所。助産所は、妊婦、産婦、又はじょく婦10人以上の入所施設を有してはならない。

「特定機能病院」
高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院。第二次医療法改正において平成5年から制度化され、平成31年4月1日現在で86病院が承認されている。

「地域医療支援病院」
地域医療の確保を図る病院として相応しい構造設備等を有するものについて、都道府県知事が個別に承認している。医療施設機能の体系化の一環として、患者に身近な地域で医療が提供されることが望ましいという観点から、紹介患者に対する医療提供、医療機器等の共同利用の実施等を通じて、第一線の地域医療を担う、かかりつけ医、かかりつけ歯科医等を支援する能力を備えている病院。

「臨床研究中核病院」
日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要な質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院。

60以上ある診療科では、診察や治療のプロフェッショナルが活躍!

みなさんが主な診療科として思い浮かべる科は、病院の看板などで目にする内科や整形外科、耳鼻咽喉科などが思い浮かぶと思いますが、細かな診療科も含めると実に60以上の診療科があります。

その中で、主な診療科の診察内容を調べてみました。(※平成30年の厚生労働省の統計 医療施設従事医師・歯科医師数及び構成割合,主たる診療科、年齢階級別データより、1万人以上の医師数の診療科)

【内科】
内臓を対象に、手術によらない方法での診療を行う。風邪、インフルエンザ、急性胃腸炎、膀胱炎、花粉症、高血圧、糖尿病 などが診療対象。

【整形外科】
内臓以外(脳、肺や心臓、肝臓、腸など)の診療。切り傷、擦り傷、骨折、脱臼、捻挫、腰痛、肩こり、手足のしびれ などが診療対象。

【小児科】
15歳前後の子供の病気全般の診療。

頭痛や下痢のような症状であっても、成人とは原因が異なる場合があるため、ケガ以外は小児科の受診が勧められている。その他、予防接種、健康診断、発達障害の対応をする場合もある。

【精神科】
精神障害・精神疾患・依存症・睡眠障害・不安障害・認知障害などの心の病気の診療を行う。うつ病、統合失調症、不眠、食欲不振、幻覚、幻聴 などが診療対象。

【呼吸器内科】
咳や痰、息切れ、胸の痛みなど、呼吸に関係する臓器の病気の診療。急性気管支炎、肺炎、気管支喘息、肺気腫、自然気胸、睡眠時無呼吸症候群、肺癌 などが診療対象。

【眼科】
眼球とその周辺組織の病気や異常の診療。近視や老眼の検査、白内障や緑内障の手術も行う。ドライアイ、ものもらい、視力低下、眼精疲労、充血、メガネ・コンタクト処方 などが診療対象。

【産婦人科】
「産科」は妊娠、分娩、産褥期までを診療し、「婦人科」は内分泌および不妊と悪性腫瘍に関するもの、生理不順や更年期障害についての診療や治療を行う。生理不順、PMS、下腹部痛、子宮筋腫、子宮内膜症、膀胱炎 などが診療対象。

まだまだある診療科!

上記の診療科以外にも、多くの科があります。聞いたことが無いものもあるのではないでしょうか。

循環器内科、消化器内科、腎臓内科、神経内科、糖尿病内科、血液内科、皮膚科、アレルギー科、 リウマチ科、感染症内科、心療内科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、気管食道外科、消化器外科、泌尿器科、肛門外科、脳神経外科、形成外科、美容外科、耳鼻いんこう科、小児外科、産科、婦人科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、病理診断科、臨床検査科、救急科、糖尿病科、腎移植科、血液透析科、代謝内科、内分泌内科、救急医学科、血液科、肝胆膵外科、糖尿内科、大腸肛門科、眼形成眼窩外科、不妊内分泌科、膠原病リウマチ内科、脳卒中科、腫瘍治療科、 総合診療科、乳腺甲状腺外科、新生児科、小児循環器科

(※歯科関連)歯科、歯科矯正科、小児歯科、歯科口腔外科

診療科名は、より分かりやすいものへ

病院の前の看板や病院名には、主に何を診療している病院なのかが読み取れるようになっています。病院は「自由標榜制」となっており、医師免許を取得していれば、専門分野や経験年数を問わず、診療科目を自由に選び、外部に広告できるとされています。

平成20年4月1日に、医療機関の標榜診療科名の見直しが行われ、身体の部位や患者の疾患や症状を診療科名とする柔軟な方式に改められました。例えば、内科(ペインクリニック)、外科(内視鏡)、産婦人科(生殖医療)など、患者にとって分かりやすい表示に変更されている医療機関もあります。通院する際には看板を見て、その病院の診療の得意領域を判断しましょう。

「どの科に行けばよいか分からない」という場合は?

大きな病院なら「総合受付」で聞いてみましょう。受付で適切なアドバイスをくれますので、自己判断するより安心です。確実に自己判断できるとき以外は、先に電話等で問い合わせをしてから診察へ行きましょう。

大病院では、なぜ「紹介状」が必要?

外来の患者は、診療所や小さな病院が担当するという機能分担の方針を国が打ち出しています。 診療所や中小病院に比べ、大病院の再診料はきわめて安く設定されており、外来患者を受け入れ続けると大病院の経営が苦しくなるような仕組みのため、外来患者は診療所などに紹介するようにしているのです。このような仕組みになってはいますが、初診でも特定療養費を支払えば外来患者でも診察してもらうことは可能です。

施設は大きい方が良いわけではない!?病院・診療所の正しい使い方

大病院と診療所では、役割が異なるということがお分かり頂けたのではないでしょうか。

何となく、大きな病院ならしっかり診てもらえそうなイメージがありますが、風邪であったり、軽度のケガや症状が安定している慢性的な疾患であれば、近くの診療所やクリニックの処置の方が費用もお得なのです。

専門的な設備を備えている大病院に通うことになれば、その分、患者に関わる医師や看護師の数も多くなり、高度な医療機器も充実しているため、医療費にも差が出てくるのです。これについては、すでに法律でも取り決められており、平成27年5月に成立した医療保険制度改革法によって、紹介状なしで大病院を受診する場合には、特別料金が徴収されることになっています。

ベッド数が200床未満の病院を探して利用すれば初診時の費用は抑えられるので、これらも併せて覚えておくと良いでしょう。

また、診療所やクリニックの診察結果によっては、専門的な治療や入院が必要になるケースもあります。その場合は、治療に適切な病院を紹介してもらえます(紹介状を書いてもらえる)。紹介状には病気の経過や症状、検査の結果等が記入され、診療所から病院へとスムーズに引き継がれるようになっています。

大病院で診察を受けた方が良いのは、短時間で重症化する可能性がある場合です。熱中症や強烈な頭痛、大量出血を伴う大けがなど、緊急性のある症状が出た時には大きな病院で診察を受けましょう。 専門的な治療が必要な方へ適切な医療を提供するために、規模に合わせた医療施設ごとの役割が分けられているのです。

医療現場のひっ迫は日本全体の問題。医療機関を使い分けて適切な受診を!

新型コロナウイルスの流行期以降は、みなさんも病院経営が赤字になっているというニュースを聞いたことがあるのではないでしょうか。病院側は入院設備等をコロナウイルスの感染症対策に備えることで負担が大きくなっています。

今後も患者が増えるほどに設備負担が増えることになります。現状では6割ほどの医療機関が赤字となっており、設備や人件費は膨らみ続けています。

冒頭でお伝えしたように、日本では多くの方が医療機関を選ぶことができる状況にあります。しかし、医療従事者の働く環境が過酷であるという一面も同時に存在していることを忘れてはなりません。

この状況を少しでも改善するために、医療に直接関わらない私たちも、適切な医療施設を選ぶことで僅かながらでも医療現場の環境改善に協力することが出来るのです。これまでは病院の種類を意識せずに通院していたという方も、今後は病院の種類を区別して適切な医療を受けるように心がけてみましょう。

※本記事の医療情報や内容は現時点(2020年11月)で確認できるものとなっています。今後の法改正などにより内容が変わるおそれがある点にご注意ください。

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