生成AIは製薬企業の業務に好相性!導入メリットや活用例を紹介

製薬

公開日:2025.04.02

生成AIは製薬企業の業務に好相性! どんな業務に活用できる!? 活用方法やメリットを具体的に解説!

製薬業界における生成AIの活用事例を紹介していきます。業界ならではの活用方法や使うことによるメリットを具体的に解説していきます。今回はMMによるご支援の事例も含めてご紹介しますので、参考にしてみてください。

新薬開発や業務効率化で進む生成AI活用!

「生成AI」は私たちの生活の中にも浸透し始め、多方面の業務への導入も拡大し続けています。
今回は製薬企業への導入事例の現状を調査しつつ、なぜ、生成AIを活用すべきなのかも解説していきます。業界全体における活用状況を知りたい方、生成AIを使うメリットを具体的に知りたい方は今回の記事をぜひご一読ください。さらに、私たちメンバーズメディカルマーケティングで手掛けた事例も紹介していきます。

「生成AI」という単語が製薬業界に広がり始めた頃は、新薬開発の段階で導入したというニュースを目にすることもあったのではないでしょうか。実験の手間やコストを削減し、創薬プロセスの効率化と成功率向上に寄与するため、開発期間の短縮とコスト削減への期待が高まり続けています。創薬は一般的に10年以上かかるため、年単位のプロセスを短縮し、新薬の市場投入を加速できるのが大きなメリットと言えます。
さらに、創薬だけではなく、製薬企業の業務効率化や、営業・マーケティング活動にも生成AIによる支援が広まっています。これは、2020年からの数年のコロナ禍の中でMRがリアルマーケティングから離れざるを得なくなり、新たな営業の手段としてデジタルツールが浸透していったという背景も影響しています。DXの取り組みなど業界全体のデジタル化が促進される中で近年は生成AIの開発が進み、新たなテクノロジーを使った業務が積極的に取り入れられるようになりました。

【製薬企業の生成AI活用事例】

直近の大手製薬企業における生成AI活用のニュースをピックアップしてみました。

中外製薬株式会社:
1月に中外製薬では新薬開発のスピードアップを目指し、ソフトバンク株式会社とSB Intuitions 株式会社、3社で新薬開発における臨床開発業務の革新を目指す共同研究に向けた基本合意の締結を発表しました。生成 AI の活用による効率化・生産性向上を目指したもので、このようにAI開発をサポートする企業とともに業界の枠を超えたパートナーシップを組む企業は増えています。

参考:中外製薬ニュースリリース:中外製薬、ソフトバンク、SB Intuitions の 3 社が生成 AI の活用で臨床開発業務を革新し、新薬開発のスピードアップを目指す共同研究に向けた基本合意を締結


塩野義製薬株式会社:
上記と同様の取り組みは塩野義製薬でも行われているようです。医薬品・ヘルスケア業界におけるマスターデータマネジメント(MDM)の高度化と普及、生成AIを活用した医薬品・ヘルスケア企業の業務効率化等を目指し、株式会社日立製作所と業務提携をしたというニュースがありました。さらに、2月には日本のAI開発企業「株式会社FRONTEO」と戦略的業務提携をし、AI医療機器「会話型認知機能検査用AIプログラム」の開発を進めているという発表もありました。

参考:塩野義製薬ニュース:塩野義製薬と日立、データと生成AIなどを活用した 革新的な医薬品・ヘルスケア業界向けサービス創出に向けた業務提携を開始
参考:ミクスOnline:FRONTEO 「会話型認知機能検査用AIプログラム」26年度の承認取得目指す 塩野義製薬と業務提携


アストラゼネカ株式会社:
こちらは社内の業務効率化の事例です。2024年 5月に公開された情報ですが、アストラゼネカではAWSの技術チームと連携し、より精度の高い社内検索エンジンの技術を導入したとのこと。従業員の生産性向上とともにコンプライアンスを推進するものとして最先端のAI技術を活用していました。多言語で作成する膨大な情報ストックが存在するため、イントラネットの検索エンジンからスピーディーに必要な情報を見つけることができなかったという技術的な課題に対応したものです。

参考:アストラゼネカ株式会社 Stories:最先端のAI技術を活用したアマゾン ウェブ サービス(AWS)との協働で社内検索サービスを改善、コンプライアンスを高める取組みを実施

このような流れの中で生成AIの導入に注目が集まり続けている一方、生成AIの技術を効果的に活用できる専門人材の確保やAIの結果の検証や信頼性、セキュリティに対する不安が課題となっている側面もあるようです。

マーケティングや営業業務に生成AIを導入するメリット

生成AIを導入するメリット

これから生成AI導入を検討している企業さまに向けてマーケティングや営業に生成AIを導入する具体的なメリットを解説していきます。
「AI」と「生成AI」は混同されがちですが、「AI」は、データを基に予測・パーソナライズ・自動化が得意という性質があり、「生成AI」は、テキスト・画像・動画など、コンテンツを自動生成することができます。そのため、AIで分析した顧客データを基に、生成AIで営業資料やメールを作成したり、最適なコンテンツを作成するような形で組み合わせて使うことができます。以下にメリットをまとめましたので、参考にしてみてください。

【メリット】

■コンテンツ作成や業務効率化
医薬品に関する教育コンテンツやマーケティング資料を効率的に作成することができます。
生成AIを活用することで医師向けに適切な文章やプレゼン資料を作成したり、FAQやカスタマーサポートの文面まで自動生成できます。コンテンツ作成の時間を削減しながら質の高い情報提供が実現できます。


■顧客ターゲティングや広告キャンペーンの精度向上に役立つ
膨大なデータ(医療データ、患者データ、臨床試験データなど)を分析し、顧客である医師や薬剤師のニーズに合ったターゲティングが可能になり、より効果的なアプローチができます。
AIは、過去の購買データや行動パターンを基に個別化されたマーケティング戦略を立てることができるため、自社製品の販売促進につながります。


■効果的な情報提供と顧客エンゲージメントの強化ができる
顧客との関係構築を強化にも役立てられます。
近年は製薬企業のWebサイトにチャットボットやAIアシスタントを搭載しているものを見かけますが、これらを使って24時間対応のカスタマーサポートを提供したり、顧客からの質問やリクエストに迅速に応答できます。スピーディーで正確な情報提供や回答は顧客との信頼関係を深められ、ブランドロイヤルティの向上にもつながります。


■市場動向や競合分析による戦略的意思決定が可能
AIは膨大な市場データや競合情報を分析し、将来の市場動向を予測することができます。
AIの予測を活用することによって製薬企業は競合の戦略や市場シェアの変動を先読みし、適切なマーケティング戦略を打つことが可能になります。競合分析や市場調査の作業を自動化することで戦略的・効率的にマーケティングを展開できます。


■コスト削減とリソースの効率化
上記に挙げてきたAIや生成AIによる業務の自動化やコンテンツ作成によって従来のマーケティングや営業活動にかかるコストや手間を削減できます。コンテンツ作成やデータ分析の自動化により、マーケティングチームの業務効率化や営業チームのリソースがさらに有効活用できるようになります。

製薬企業は特に複雑な製品情報や規制もあり、AIや生成AIを使うことで業務が効果的に活用できる場面が多いことがご理解いただけるのではないでしょうか。
また、MMが手掛けた製薬企業さまの生成AIを使った業務活用のご支援事例には以下のようなものがあります。

【問い合わせ回答bot】
製薬企業さまのコストセンターに届く、イベントや資材、社用車まで多岐にわたる膨大な量のお問い合わせへの回答を自動化したいというご要望がありました。こちらは、顧客対応に対応するAIアプリを作成できるMicrosoft社が提供するプラットフォーム「Copilot Studio」を用いてボットを構築し、企業に合わせたオリジナルのAIアシスタントで課題を解決に導くことができました。

【マテリアル作成効率化】
製薬企業内で使われるマテリアル作成について、現状はマーケティングが原案を作成し、ベンダーがメールを作成するフローだったため、効率化したいという課題を抱えていらっしゃいました。そこで生成AIにマテリアルの原案を作成させ、さらに原案を基にした文章作成をすることで効率化を実現しました。

※その他、過去のMMの事例紹介記事はこちらでご紹介しています。

生成AIは製薬業界の業務と相性が良いツール!

医療・製薬・ヘルスケア業界の生成AI導入・運用を支援します!

製薬企業における生成AI活用事例やMMの取り組みについて紹介しました。
単なる業務効率化のトレンドとして生成AIを導入するのではなく、製薬業界の業務と相性が良い部分を見つけることで自社内での活用ポイントが見えてきます。他社で生成AIがどんなケースで役に立つのかをチェックしながら活用イメージを広げてみましょう。

また、冒頭でもお伝えしたように生成AIへの関心は高まっていますが、AI技術を効果的に活用するための専門人材の確保ができずお困りの企業さまもいらっしゃるかもしれません。メンバーズ全体でも生成AIの活用は進んでおり、以前にご紹介した“生成AIアンバサダー”(※)の取り組みを通して積極的にスキルを磨く人材を揃えています。
(※)【イベントレポート:後編】生成AIサミット-Vol.2開催!業務活用を阻む5つのハードルと対策を解説

医療・製薬・ヘルスケア業界に特化した生成AIの導入・運用支援を随時行っておりますので、自社業務に生成AIの活用を進めたい企業さまはお気軽にお問い合わせください。

この記事の担当者

この記事の担当者

加藤 美羽 / Kato Miu
職種: Webディレクター
入社年:2023年
経歴:2023年新卒入社後、Webinar運用案件→ イベント事務局運用案件に従事。

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