【コラム】数百億円かけて開発する医療用医薬品の特許期間はどれぐらい?

コラム

2020.02.28

みなさん、こんにちは。広報担当です。

今回は、薬のマーケティングのお話として、薬の「ライフサイクルマネジメント」をご説明していきます。

みなさんは、医療用医薬品についてどれぐらいご存知でしょうか?開発にどのぐらいの費用がかかっているのか?ジェネリック薬品って聞くけど、そうじゃない薬と何が違うの?これらには医療用医薬品の製品寿命(ライフサイクル)が大きく関わってきますので、紹介をさせてもらいます。

― 特許は20年だが、新薬における独占販売期間はもっと短い

人や食品、衣服、家電などにもある「ライフサイクル」。

ある製品が開発されて普及し、やがて新たな製品の開発によって衰退していく…という、市場活動における一連の過程です。

お薬は身近にあるものですが、特に医者で処方される医療用の医薬品はライフサイクルのイメージがつきにくいかもしれません。みなさんがそう感じているのは、医療用医薬品は一般的な日用品などに比べて長い製品寿命をたどっているのも一因でしょう。例えば「アスピリン」は100年以上の歴史を持ちながら、いまでも処方される成分です。

医療用医薬品は、特許が付された「新薬」と、その「新薬」の特許期間が切れた後に同一の成分で作られた「ジェネリック医薬品」というものがあります。

今回は、医療用医薬品の中でも「新薬」のライフサイクルをご紹介していきます。新薬は「特許期間」がライフサイクルのポイントとなっていきます。

特許といえば20年もの長い期間がありますが、医薬品の場合は新薬の発売日から20年が使えるようになっているわけではありません。

― 新薬の残余期間は平均7年ほどしかない

なぜかというと、期間は特許出願日から計算されるにも関わらず、新薬の開発は続いており、製造承認を受けるまでに通常は10~15年を要してしまうためです。これほど早いタイミングで特許を出願するのは、知的財産を保護するためと、膨大な開発費を無駄にしないためなのです。

この発売までに、新薬候補の化合物の発見~化合物の最適化~非臨床試験~臨床試験(治験)~申請承認という工程を進む必要があります。

ということは、開発期間が長ければ長いほど、特許権の残りの期間が少なくなってしまう…ということになります。

そして、特許の期間が切れた後は、他の製薬会社からジェネリック医薬品として発売され、新薬が売れなくなってくるリスクが高くなります。ジェネリック医薬品が発売されると、その新薬に対して1年で85%がジェネリック医薬品に置き換わってしまうと言われています。

新薬を発売した製薬企業は、特許権が有効な期間に、独占的に薬を販売し利益を上げなくてはならないのです。新しい薬を発売しても、そのまま安定した売り上げにつながっていくわけではない…というのが新薬開発の悩ましいところといえます。

― 創薬のコストは数百億超え!だからこそ、売るための戦略が必要!

新薬の開発には莫大な費用が掛かっていますが、医療機関で処方されるお薬は、たとえ新薬であっても保険が適応されるため、私たちは比較的安価で手に入れることができます。

現在では病状をコントロールできる薬の種類も増え、新たな薬を作るということも難しい中で、創薬に掛かるコストは数百億~一千億円以上ともいわれています。

新薬を開発するということは、費用の莫大さからも伝わってくるように、社運を賭けた大きなプロジェクトなのです。

また、創薬にかかった開発費用は新薬の売り上げから回収されていくため、新薬が発売したらどれぐらいの需要があるのかということを綿密に調査してから開発にあたります。

そして、新薬が発売されると同時に製薬会社はより多くの医療機関に薬を販売できるよう、マーケティングの戦略を立てていかなければなりません。

メンバーズメディカルマーケティングでは、特許期間中にマーケティングで最大限の効果が発揮できるよう、WEBサイトのコンテンツ提案や運用を通してサポートしています。

―  ジェネリック医薬品とは?

先ほど、医療用医薬品には、「新薬」と「ジェネリック医薬品」の2種類があることをご説明しましたが、後者は今では広く一般的なものになっています。

みなさんも調剤薬局で薬剤師さんからの説明を受けて、ジェネリック医薬品を選んでいるケースもあるのではないでしょうか。

ジェネリック医薬品は、日本語で言うと「後発医薬品(後発品)」になります。新薬(先発品)が発売した後、他の製薬会社から有効成分や品質、効き目が同じで、より安価なものを発売することができる仕組みになっています。

そのため、患者さん自身が新薬(先発薬)にこだわらなければ、効き目や安全性も同じで安価なジェネリック医薬品には、メリットがたくさんあるということです。

また、日本ジェネリック製薬協会の調査によると、令和元年度第1四半期(4 月~6 月)のジェネリック医薬品の数量シェアは75.8 %となっていることが判明しています。このことからも医療従事者から薬を使用する私たちまで、ジェネリック医薬品がしっかり浸透しているということが伝わってきます。

― ジェネリック医薬品が参入しない医療用医薬品もあります!

一般の方には馴染みのない薬かもしれませんが、血液を元に作り出される血液製剤、「血漿分画製剤(けっしょうぶんかくせいざい)」は、ジェネリック医薬品が参入することがない(できない)医療用医薬品です。

ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を使うことで製造できますが、この「血漿分画製剤」は、血液を提供するドナーの血漿からしか作ることができません。

どのような医薬品も、特許が切れたらジェネリック医薬品が製造できるというわけではないということです。

さらに、「血漿分画製剤」については、他の薬で代替出来ない場合に使用されるものなので、この点からも、ジェネリック医薬品が参入することはできない種類の医薬品であることがわかります。

街中の献血ルームでも毎日献血が行われていますが、献血された血液は輸血に限ったものだけではなく、「血漿分画製剤」のような血液の薬として加工されて使われることも知っててください。

参考:一般社団法人日本血液製剤協会「血漿分画製剤は他の薬で代替できないのですか?

― 小さな錠剤がもたらす、大きな恩恵に想いを馳せて

薬局で処方される医療用医薬品は効果も高く、保険制度のおかげで私たちはそれを安価で手に入れることができます。

新たな薬が開発されることによって、私たちが病気に罹ってしまった時も、薬によって命が救われ、手術の必要をなくすことができ、QOLが改善されるという素晴らしい恩恵をもたらしてくれます。

薬のライフサイクルを知ることによって、服薬量を守り、処方された薬を大切にする気持ちも生まれてきそうですね。

みなさんもお薬を服用する時には、小さな一錠が手元に届くまでの時間に想いを馳せてみてくださいね。

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