みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、日本で暮らす私たちがもう少しで直面する「2025年に起きる問題」について説明していきます。日本は少子高齢化社会と言われていますが、その影響が具体的に出てくるのが2025年とされています。
2025年以降、私たちの社会はどう変わるのか、そして、2025年を迎えるまでにどのような対策をするべきなのか。医療やIT業界に携わる方には切り離せない問題でもあります。ぜひご覧ください。
超高齢化社会と人口減少は避けられない!2025年にデジタルや医療の転換期を迎える日本の課題
2025年を迎える頃、日本では医療や介護、社会保障など、様々な面で深刻な問題が表面化してくると予測されています。いわゆる「団塊の世代」と言われる年代の方々がすべて後期高齢者(75歳以上)となるのが2025年であり、それを機に表面化してくる問題に2025年までに対応せねばならないということがITや医療業界で取り上げられています。
以前の記事「今注目の「DX」!デジタルトランスフォーメーションに関する用語や定義をきちんと知ろう!」でも触れていますが、DXが注目され始めたきっかけは、2018年に経済産業省がDXについてまとめたレポートからです。
そして、「2025年の崖」という単語が出て来たのもこちらでした。このレポートの概要は、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや国の経済の停滞などを指摘したものになっています。
ということは、今後確実に直面する問題に私たち自身が正面から向かって行かなければ、医療サービスのレベルが低下し、デジタルの便利さを享受できないなど、日本全体の暮らしが今より不便なものになっていきかねないのです。
約4年後に迫っている2025年。既に2025年を見据えた対応をしている医療のDX事例などから、あと数年内に対応していくべきことを洗い出してみてはいかがでしょうか。
医療制度や医療環境が崩壊してしまう恐れも。DXが進まなければ経済損失は約12兆円に!
2025年に向けた対策をしないことによって、経済的にもかなり甚大な影響があるということも予測されています。具体的には、高齢化が進むことによって高齢者の医療ニーズは確実に高まっていきます。認知症やがんなど慢性疾患のもリスクも増大していくと共に、医療従事者たちの負担が増えることになるのは確実です。
さらに、負担があるのは医療の現場だけではありません。日本は国民皆保険制度という形をとっているため、医療費が増大することによって国民全体の負担まで増える可能性も十分にあります。
また、医療業界だけではなく、IT業界も「2025年の崖」を迎えることによって既存のITシステムが老朽化・肥大化してDXを阻害する要因になります。多くの企業ではITシステムの開発や改修、保守や運用を外部のベンダー企業に業務委託という形で依存しているため、DXを推進できるスキルを持ったIT人材も枯渇していくでしょう。DXを推進できなかった場合、最大で年間12兆円の損失がでると予測されました。
医療やIT業界に限らず人口減少へ転じている私たちの社会では、多くの業種で人手不足となっていき、労働環境が悪化してしまうことに繋がる恐れがあります。
レガシーな企業文化からの脱却でDXを推進!
このような危機的な状況を回避するために、この数年は特にDX推進が叫ばれていたということになります。そして、経済産業省では2021~2025年をシステム刷新集中期間(DXファースト期間)として設定しています。ここで目標とされているのはシステムのブラックボックス状態を解消し、既存システムにあるデータを活用した本格的なDXを可能にすることです。新たなデジタル技術を導入し、迅速なビジネス・モデルの変革を実現させるための期間です。
ここからは、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会」のレポートを参考に、今後のDX施策に対する現在~今後のアクションをピックアップしてチェックしてみましょう。
【超短期のアクション】:コロナ禍の事業継続を通じたDXのファーストステップ
・業務のオンライン化、業務プロセスのデジタル化、顧客設定のデジタル化、従業員の安全・健康管理のデジタル化。
【短期のアクション】:本格的なDXを進めるための体制整備とDXの実践
・DX推進体制の整備。DXを担う関係者(経営層、事業部門、IT部門)の間での共通理解の形成(目的、自社のDX戦略、進め方)。
・DXをけん引する経営層の役割明確化により、推進体制整備を支援(CIO:最高情報責任者/CDXO:最高デジタルトランスフォーメーション責任者の役割再定義)。
・コロナ禍による環境変化を踏まえ、業務プロセスをデジタル前提・顧客起点で見直し。
・DX推進指標等を用いたDX推進状況の定期的把握。
【中長期のアクション】:デジタル企業へー”迅速に変わりつづける能力”の獲得
・環境変化を把握し、迅速に製品・サービスを市場に提示しつつ検証し続けるための内製アジャイル開発体制の確立。
・DXを対等な立場で支援できるベンダー企業とのパートナーシップ構築。
・受託開発とは決別し、ユーザー企業のDXを支援・伴走してけん引する新たなベンダー企業への転換の加速(ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進)。
・社外を含め多様な人材が参画する時代を見据えたジョブ型人事制度の拡大の検討。
上記のようなアクションが必要とされていますが、医療業界におけるDXの「超短期のアクション」については、2020年の新型コロナウイルス流行によって既に取り組み済み、という医療施設や製薬企業もあります。次のステップの「短期のアクション」も、大手の製薬企業では経営計画の発表時にこれらについて取り組んでいくと語られる場面も多くなってきた印象を受けます。
また、日本の企業風土として、変化を受け入れにくい面があることによってDXが進みにくいというのも事実です。ITや医療業界についても同様ですが、まずはDX開発に対する姿勢をチームメンバー全員で刷新するところから始めるのが重要です。企業やチーム全体の意識を揃えたうえで、これまでの企業文化から脱却することができ、DXが加速していくでしょう。
医療の在り方は、すでに変わり始めている!未来を担う新しい医療サービス
当ブログを定期的に読んでくださっている方は、オンライン診療や治療アプリなど、医療に関する新しいテクノロジーが続々と開発されている事をご存じかと思われます。今回、取り上げたように2025年を一つの目安としてDXは推進されていますが、人口の減少、高齢化社会という課題は2025年以降も続いていきます。
そんな私たちの未来の日本の暮らしの中で、社会インフラとして欠かせない病院や安全な医療を保ち続けるために、デジタル技術を駆使したさまざまな取り組みが行われていますので、その一部をご紹介します。
■「地域包括ケアシステム」の構築
団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる体制を作り、高齢者をサポートする仕組み。「医療」「介護」「住まい」「予防」「生活支援」などが一元的に提供されることを目指す。
厚生労働省では、地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要。としており、すでに複数の都市や地方の人口の少ない地域などで、その地域ならではの課題に焦点をあてながら独自のケアシステムの構築に乗り出している。
■医療分野でのICT技術の活用
ICT(情報通信技術)の導入によって、業務の効率化や人手不足の解消、経営状態の改善などが期待されている。電子カルテや電子薬歴の導入、PCやスマートフォン、タブレットを用いた遠隔診療、オンライン診療、EHR(電子健康記録)を用いた病院、介護施設、薬局間での情報連携など。
新型コロナウイルスの流行期には、オンライン診療などが注目され、急速な広まりを見せた。今後も災害時や過疎地での医療に役立てられる。その一方で、医療データの取り扱いが容易になるため、セキュリティ対策等、情報の管理や患者への説明を慎重にせねばならないという問題もある。
2025年はもうそこまで来ている!必要なDXで来たる時代へ備えよう!
すでに1995年をピークに日本の生産年齢人口は減少が始まっており、人手の足りない部分にはテクノロジーで対応を取り入れねばならない時代へと突入しています。
また、2025年には人口の3.3人に1人が65歳以上になる予想であり、医療業界は2025年を区切りにダメージを受けることが避けられません。多忙な医療現場のためにも、それまでにDXで環境を整えつつ、前もって必要な対策をうっていかねばならないのです。そうした中でも、医療・製薬業界の企業によってはコロナ禍をきっかけにスピーディーなDX推進を実現してきた企業も数多くあると感じています。これを機に”迅速に変わりつづける能力”を企業やチーム全体で身に付け、日本が抱える医療の課題を効率よく改善してもらいたいと願っています。
特に、私たちは医療・製薬業界のデジタルマーケティングに携わっているため、DXを取り入れて次の時代へ向かう準備を整えて実施している企業、対応するべきことがまとまらず困っている企業、どちらも目にすることがあります。「医療」×「デジタル」両面から本格的なDXを進められる人材が必要な医療業界・製薬業界の方、DXにこれから取り組みたい方も、お気軽に私たちにお問い合わせください。