【セミナーレポート】他業界の成功事例から学ぶ! デジタル化時代を生き抜くために取り組むべきDXチーム構築やカルチャー作りとは?

DX事例まとめ

2022.03.29

みなさん、こんにちは。広報担当です。今回は、1月26日に開催されたオンラインセミナーのレポートをお届けします。

セミナーの議題は『他業界の成功事例から学ぶ!ウィズコロナ時代を生き抜くために取り組むべきDX』として、ゲストにメンバーズDX コンパスカンパニーのカンパニー社長 奥村さんをゲストに招き、メンバーズメディカルマーケティングカンパニー(以下、MM)のカンパニー社長の長野さんとDXについてのトークディスカッションが行われました。

企業が取り組むDXに興味をお持ちの方、当日セミナーに参加できなかった方もぜひ、こちらから内容をご覧ください。

デジタル化に成功している企業は「内製化」でDXを推進!

1月26日に、オンラインセミナーにてメンバーズDXコンパスカンパニーとのトークセッションが開催されました。トピックは『他業界の成功事例から学ぶ!ウィズコロナ時代を生き抜くために取り組むべきDXとは?』。当日は、MMのカンパニー社長の長野さん、DXコンパスカンパニーの社長、奥村さんとトークセッション形式で進められました。

セミナーが始まると、長野さん、奥村さん、2人の自己紹介が行われ、長野さんからセミナー開催の背景について説明がありました。

「今回は、DXの事例などについてメディカル業界だけでは事例が少ないので、DXコンパスの事例も交えて取り組むべきことについて勉強していきたい。また、WEBだけに拘ると出来ることが限られてしまうため、『デジタル』という括りで考えたい」と語る長野さん。

特にリアルマーケティングとデジタルを組み合わせたハイブリッドな営業スタイルが今後は重要になって来るため、業界を絞った事例だけでなく、視野を広げてDXの潮流を学ぶという形式でトークセッションがスタートしました。

【日本のデジタル競争力の低下について】

さらに長野さんから、医療や製薬以外にも国内のDX事例が少ない事は日本のデジタル競争力がまだ足りないことも関連しているということで、スイスのIMDというビジネススクールが出しているデータを参考に説明。

こちらのランキングによると、日本は28/64位という順位になっているとのこと。内訳を見ると、教育などの分野の順位は悪いわけではないようですが、ビジネスアジリティ(アジリティ=機敏性、対応力の高さ)が低いことが分かります。ビッグデータの活用などが他の国に追いついていない部分があると、DX活用に足りていない要素について指摘していました。

そして、先進的なデジタル事例として、既存のサービスを奥村さんがピックアップし、以下にまとめています。

■UXを高めてくれるサービス

・Apple Pay・LINE Pay

・Uber Eats

・モバイルオーダー(マック・スタバ・居酒屋)

・Nike Run Club

・Google広告(AI)

・自動車技術(運転補助・自動ブレーキ他)

・Apple Watch

すでに日常生活に取り入れられているサービスとして身近になっているものも多く、私たちの生活はデジタル活用によってより豊かになっていることが実感できます。また、内製型チームを強みとし、オンラインとリアルを同時に使い、ユーザーにサービスを提供している先進的な企業として、以下の企業をピックアップしていました。

■カインズ(ホームセンターチェーンの経営)

 ・在庫や売場所はアプリで確認、オンライン購入・店舗受け取り
⇒リリースまで2週間で対応

 ・デジタル担当100名以上(2024年度までに430名規模にする計画)

■グロービス(日本の私立大学)

 ・オンラインクラス(遠隔地でも受講可能)
⇒実現に向けた社内変革

 ・デジタル部門200名?(内エンジニア100名?)

【国内企業における内製化DXの必要性】

ここでは、近年注目されている「内製化」についての話題に触れていました。

当ブログでも取り上げていますが、DXに取り組む企業は「内製化」へのメリットを以下の要素からも感じているようです。

■経営判断・戦略の実現にデジタル技術やデータ活用の関与度が高まっている

■グロースやリスク回避には当事者意識が必要

■自分たちが主導権を持つことでスピードが上がり、適切な技術・コスト・スケジュールで実現できる

これらのメリットも含め、今後もコロナウイルスの流行などの予測できない事象に対応するためにも、内製化の体制は必要ということでした。

マーケティングは「つくってから、売る」から「売りながら、つくる」時代へ!

さらに、今後の製品製造やサービスについて、マーケティングはプロダクトを中心に、製販分離の考え方になりつつあると語る奥村さん。

例えば、トヨタ自動車も「自動車を作る会社」から「モビリティカンパニー」としてモデルチェンジすることを決断。世界中の人々の「移動」に関わるあらゆるサービスを提供する会社になろうと動いているようです。

今後は、作って終わり…ではなく、できるだけ早くリリースして、ユーザーの声を拾って改善していくのが、これからのデジタルサービスの考え方になっていくとのことでした。

ゲストとのトークセッションを交えてメンバーズの支援事例をご紹介!

DXの支援体制を企業ごとにヒアリングをして行くと、事業部の中でDX支援部門がある形(下図:左)、内製化でやろうとするが、指揮する人が不在で結局は外部に丸投げになっている(下図:中央)というケースはまだ多いとのこと。しかし、内製化に成功している企業の体制(下図:右)へと、今後は移っていくことになると思われます。

上記のような体制を見ていくと、人材不足というより「カルチャーギャップ」や「プロダクトマネジメント」という考え方が無い事によりDXが進んでいない事が判明し、さらに、デジタルツールも導入している最中の企業が殆どということでした。

ここからは、長野さん、奥村さんのトークセッションとともに事例を交えてご紹介していきます。

長野さん「先ほど、『つくってから、売る』、から『売りながら、つくる』のお話もありましたけれど、医療用医薬品では法律上出来ないのですが、顧客向けの情報提供をサービスとして考えるならば、コミュニケーションのやり方をグロースしながら改善させるのは出来るのかなと思いました」

奥村さん「そうですね」

長野さん「僕の方から少し話しをさせていただくと、医療用医薬品の業界で考えなくてはならないのは、BtoBの方なのかなと。医療用医薬品は導入が決定するまでのプロセスに関わる人が多く、WEB以外のコミュニケーションの方法も多いです。とはいえ、この数年はMRさんの数も減っていますので、リソースの最適化を考えると今後のコミュニケーションはオムニチャネルになって行くのではないかなと思っています。

施設数の少ない大学病院等での情報提供はMRさん、それ以外の場所での情報提供はWebサイトやメール、ウェビナー、チャットボットでの応対にすることで、ドクターや薬剤師さんなどがどこからアクセスしても同じ情報を取得できるようにするのが今後のコミュニケーションの在り方の答えの一つであると考えています。

2022年も新型コロナのオミクロン株が流行しており、この状況下でデジタルコミュニケーションに取り組まない理由は無くなっていますので、先ほど申し上げたような施策に注力していくのが重要だと思っています。そう考えていくと、奥村さんが言ったように、外注請負型でのデジタル支援では追いつけない。やはり、内製化で取り組むことが必要です。

また、そこがデジタル競争力の源泉でもあります。その点は製薬会社のデジタル担当者からも同意はいただけますが、上層部の方にはなかなか理解を得られません。その他の業界の方は、この辺りの理解を深めていただくためにどのような方法で進めているのでしょう?」

奥村さん「その点で成功事例となったBtoB企業のケースがありますので、以下の資料と一緒にご説明します」

奥村さん「こちらの企業は9月ぐらいからご支援を開始しているのですが、実施していることは『守りと攻めのDX』と幅が広く、AIやRPAでの業務効率化、データの活用、オンライン上で全部完了するような施策、また、デジタル活用部分についての中期経営計画の支援もさせていただいています。さらに、この事例の良い所は予算の取り方です」

奥村さん「DX・内製化が上手く行かない理由の一つが予算を取るプロセスなのではないかと思っています。戦略・企画を立て、見積もりを承認してもらって予算を取り、施策を実行するのが一般的な流れですが、DX・内製化は先ほどご説明したような『つくりながら育てる、マーケティングする』スタイルが理想です。そのため、この流れ自体が内製化を妨げる要因だと思っています。戦略の段階に多くの時間を割き、予算を使い開発しても、開発チームはリリースが終われば解散してしまいます。さらに、作っている最中にどこか違和感が生じても、『一旦は作ってしまいましょう』という流れになります。でも、こちらの企業さんは、3~4名のDX専任のチームに予算を付け、できるタスクから進めて行った……というのが他と異なる点です

奥村さん「また、この企業のトップの方がDXに対してとても危機感と熱意がある方で。DXチームと直接の接点を持っているのも大きいですね。週に一回のミーティングには必ず参加し、そこで『新規事業は何が良いんだろうね?』などの検討をしたり、内製化に向けて何が足りないかを直接伝えて判断していただける。こういった組織の体形が素晴らしいなと思いました。

あとは内製の部分で言うと、営業やマーケティング担当でデジタルに詳しくない方に関しては、大手のコンサルタントや我々のようなベンダーを上手く使ってチームで支援をしていきます。アジャイル開発には慣れていないのですが、ウォーターフォールの良くない部分を理解し、排除するように努力されていたところも大きいですね。

また、一般的にDX支援担当がトップに立ってタスクを考え、それから各人にタスクを振って……という形だと、そこがボトルネックになってしまい作業が進みません。一旦、『これをやらなければ』というのを外注の方も内部の方も関係なく、チーム全員に共有し、『どうやろうか?』ということを毎日のように吟味しながら話し合えていたので動きやすかったです。こういった動き方が参考になれば良いのかなと」

長野さん「今の話を聞いていると、上手く行きそうな進め方のように感じますね。他の事業でも何かに投資をする時には、このような体制を作るとは思うんです。ただ、これがデジタルになった途端になぜか外部に丸投げになる……というのが、不思議な感じがしますけれど(笑)」

奥村さん「そうなんですよね(笑)。それだけ、それまでに受け継がれていた現場のカルチャーを壊すって大変だということです。とはいえ、デジタル化は部署などを横断してやらなければならないものなので、ここを打破できたところから上手く行くのかなと」

長野さん「やはり、兼任じゃない専任担当がいる部署を作るとか、決裁者を中に入れる、チームに予算を投下するのが非常に重要だということが分かります。

また、私が思うには『小さく始めること』も大切なのではないかと。企業としても、投資して上手く行かなくなったら? という不安は必ずありますので、Google がイノベーションに取り組むときの考え方『Think big, start small (志は大きく、スタートは小さく)』のような、その中でどんどん変えていくのがDXに繋がって行くのかなと思いました」

質疑応答&DXコンパスのご紹介

セミナーの最後に、事前に頂いていた質問の回答とゲストの奥村さんのカンパニーのご紹介をしていきます。

■事前質問についての回答

Q1.漠然とDX推進チームを作ることになりましたが、何から手を付ければいいか分かりません。

奥村さん「難しい質問ですね(笑)。結局、何が課題なのか、何をやりたいか、だと思います。そのチームがDXをやること自体も手段・施策でしかないので。何のためにDXチームが必要なのか、今、どこに大きな課題があるのかという事を深堀りして行くことが大事ですね。その辺りを詳(つまび)らかにして、そこからスタートしていただければ。

例えば、『オンライン上でコミュニケーションを取ることが必要だよね』とか、『ディスラプターが出てきたので、それに対する新しいサービスを考えなくちゃ』とか、そういうものが見えてきたらチームでどう対応するのかが具体的に出てくるのかなと思っています」

Q2.医療業界のDX事例はありますか?

長野さん「医療というか、製薬企業に限れば、DX事例は創薬の方に集中しています。シーズを見つけるのにAIを使うような事例はよく見受けられます。ですが、マーケティングに関して表立っている事例は、実はそんなにないですね。とはいえ、製薬企業さまから色々お話を聞かせていただく中からご紹介するならば、1つは社内DXになりますが、ドクターとのコミュニケーションを取る手段としてのウェビナーでしょうか。ウェビナーにどのドクターが参加したかであったり、いつ、何人参加されたかというような裏側にあるデータをツールで全部繋ぎ、即時にMRさんに展開するようなものを実装している企業さんもあります。

もう一つは、ウェビナーを頻繁に開いている企業さんがあって、その事務局を私たちが担当させていただいていますが、MRさんはウェビナーの企画に集中、我々はそのサポートという形を取っています。そこで開催したウェビナーに関するデータはWebサイトで連携されていて、ログインすれば情報が閲覧でき、視聴時間などが展開されるという事例もあります。現状はご紹介できる事例は少ないですが、これからにかけて増えて行くと思われます」

■「DXコンパス」のカンパニー紹介

奥村さん「最近、DXコンパスはプロダクトグロースチーム『The Growth Studio』を立ち上げました。何をやるかというと、カルチャー作り、アジャイル開発や内製型の組織づくりからご支援するために立ち上げたサービスです。プロダクトサービスを立ち上げるチームをクライアントのみなさまとともに作っていきます。その中で我々のノウハウを大いに盗んでいただいて、いずれはクライアントのみなさまのみで実施できるようにしていくというものです。また、その中で我々の役割としては以下の図のピンクの枠内の部分になります」

奥村さん「それ以外にも、前段階として戦略を考えたり、事業にどう落とし込むかを考えるところからのご支援も可能です。また、プロダクトオーナーさんは非常に大変です。そこに私たちが人材支援という形で入ることもできますので、その際にはご相談をいただければと思います。こちらは、セミナーなどを開催して改めてご説明しようと考えています」

長野さん「ありがとうございました」

DX成功事例のポイントを取り入れながらデジタル化を着実に推進!

今回、メンバーズの他カンパニーが手掛けた事例を紹介したことで、DX推進のために何から手を付けて良いか分からないと迷っていたデジタル担当者さまにも参考になる部分があったのではないでしょうか。DX専任チームの作り方や、チームに投資する大切さ、上層部との繋がりも大事だということも感じていただけたと思いますので、みなさまのDX推進時の参考にしてみてください。

また、DXコンパスカンパニーでは、アジャイル開発や内製型の組織づくりからのご支援が可能です。サービス内容に興味があるという方はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

※メンバーズDXコンパスカンパニー
https://dxcompass.members.co.jp/