【イベントレポート:後編】生成AIサミットVol.4 投資対効果がわかる!生成AI導入の3つのステップ

DX事例

公開日:2025.02.27
更新日:2025.02.26

PoC開発
新たなサービスや技術が実現できるか
得られる効果などを検証すること

前回に続いて1月22日に開催された「生成AIサミット」のイベントレポートの後編をお届けします。メンバーズ外部顧問 池田朋弘氏主催によるオンラインセミナーにて、生成AIプロジェクト統括の彦坂プロデューサーが登壇し、池田氏とともに生成AIのビジネスにおける可能性を探るトークセッションを行いました。後半は、PoC開発から業務フローへの組み込みについて事例とともに解説しています。ぜひご覧ください。

生成AIの導入可否を決める最後のステップはPoC開発!

STEP3 PoC開発〜業務フロー組み込み

1月22日(水)にオンラインで開催された「生成AIサミット-Vol.4」。1万名を超える申し込みがあり、生成AIを活用した新規事業開発や人材開発、分析などについてトークセッションが行われる大人気のイベントです。
メンバーズからは私たちメンバーズメディカルマーケティングカンパニーの彦坂プロデューサーが登壇。『投資対効果がわかる!生成AI導入の3つのステップ』をテーマに池田氏とトークセッションを行いました。今回は、そのセッションの続きをレポートしていきます。

前編では、生成AI活用で成果を創出するための3つのステップの内、2つまで解説が終わっていましたので、最後のステップについて解説していきます。

前編はこちら!

【STEP3】PoC開発~業務フロー組み込み

メンバーズ社内ではローコードの開発プラットフォームであるDifyを使ってプロトタイプを作ってクイック検証をしているという事例を紹介しましたが、クイック検証を行って検証結果が予想通りのものになったら、次は具体的なPoC開発と業務フローへの組み込みまでのステップに入っていきます。
PoCは(Proof of Concept)日本語にすると「概念検証」と訳されますが、簡単に説明すると新たなサービスや技術が実現できるか、得られる効果などを検証することです。こちらは投資対効果(ROI)を試算していくステップなので、ビジネスとしては非常に重要なパートです。

PoC開発〜業務フロー組み込みまでのステップ

では、その判断をどうするのか。投資対効果(ROI)については、以下の3ステップに分けて算出していきます。

【STEP1】導入目的・KPIの明確化:生成AI導入によって何をどのくらい改善するのか定義する

【STEP2】現状コスト・導入コストの算出:人件費、時間コスト、外注費等の現状コストとともに、導入に掛かる開発費、ライセンス費、保守運用費も洗い出す

【STEP3】期待効果の定量化・ROI算出式で投資コストを算出:生成AI導入後の期待効果を金銭価値(コスト削減、売り上げ増加、機会創出、品質向上による利益etc.)で換算してシミュレーションする

そして、投資対効果(%)の式に合わせて計算し、結果が100%以上になれば投資による収益や削減コストが投資コストを上回り、確実に効果が出るという判断ができます。

投資対効果(ROI)算出式例

ここで、生成AIにおける投資対効果の参考例としてIDCの調査データを引用しました。生成AIの習熟度を〈先進的な企業/平均的な企業/生成AIの取り組みが後発な企業〉に分けてROIの達成がどれくらいになるか?というデータを見ると、先進的な企業で平均10倍以上(1,030%)のROIを達成しており、後発な企業であっても約3倍(290%)というデータを紹介しました。彦坂プロデューサーは「現在、生成AIの黎明期だからこそのデータかもしれませんが……」と前置きをしつつも、今だからこそ出ている驚異的な達成率とも言えます。

生成AIにおける投資対効果の参考例

投資対効果(ROI)の算出の次は、「PoC計画/開発/検証」と「PoC結果の評価」の説明に移っていきました。

こちらは、メンバーズが大手メーカーさまの案件の取り組みをした事例を用いて説明をしました。
具体的には、消費者向け商品について収集したデータ(CRMのデータ、Amazonレビュー、SNS投稿etc.)を膨大なテキストデータをもとに学習するLLM(大規模言語モデル)に投入して統合・分析。戦略をダッシュボードで可視化して、AIを通して商品企画やマーケティングの企画案などのアウトプットをし、その先の用途(アプリや商品開発、Webサイトの最適化etc.)にしっかりつながるかどうかを評価、検証をしたとのことです。

【課題】
・消費者の声をいち早く取り入れ、商品開発を始めとする企画業務や販促・広告などマーケティング業務や営業における意思決定を効率的に行いたい。
・ソーシャルリスニングツールやCDP(Customer Data Platform)でデータは収集しているが、集約したデータの分析に時間を要しており、意思決定~施策実行までのリードタイムが長く、成果創出に時間がかかる。

【PoC開発での検証内容】
ソーシャルリスニングデータや口コミデータ、アンケートデータなどの消費者の声となるデータを取得。そのデータをLLMにインプットすることでマーケティング企画に活用する。例えば、商品キャッチコピーや商品改善案、広告やクリエイティブ改善案などに繋げていくことが可能かを検証。

PoC開発の取り組み事例

結果については一定のアウトプットの精度が担保でき、使えるものであることが判明したとのことでした。
また、現在は特定の商品に対して検証をしていますが、これを他の商品でも有効なのかどうかを検証したり、精度を上げるにはどうしたら良いか、消費者の声を分析に偏りがあるとアウトプットにも偏りが出てしまうことが分かっているため、それらを解消することが次の課題となっています。

【PoC開発の結果】
・消費者の声となるデータを取得してLLMを用いて分析し、企画業務の中で求められるアウトプットの精度が担保できた。これによってこれまで属人化していた企画業務を体系化できる状態となった。
・テキスト生成だけではなく、クリエイティブ制作業務に活用可能な絵コンテの生成や広告バナーのラフ案も一定のクオリティでアウトプットできた。

【PoC開発の次のアクション】
・PoC実施により、アウトプット精度向上のために対応が必要な次なる課題も顕在化。課題を解消するためのバージョンアップしたアプリケーションの開発を実施する。
・初期にPoC実施した商品以外の別の商品においても有用性が認められるか継続的に検証する。

最後に、池田氏から「PoCの後に気を付けた方が良い事やポイントは何でしょう?」という質問があり、彦坂プロデューサーは「生成AIに限らず、構築して終わりではないということをクライアントサイドと認識を合わせることがまず大切。そのうえで、運用したり調整をしながら使える状態を維持するためにWebや生成AIに対して理解しているメンバーをアサインしましょう」と回答。さらに、技術のアップデートも早いため、現在作ったPoCも1年後にはもっとスピーディーに作れる可能性も視野に入れつつ、ROIなどコストのバランスも調整しながら生成AI活用をしていくことを推奨。生成AIのツールを使える環境を維持しながらアップデートしていくことが大事であるとして、セッションを締めくくりました。

生成AI実装~業務への定着化・運用までご支援します!

医療・製薬・ヘルスケア業界の生成AI導入・運用支援はメンバーズへ!

「生成AIサミット-Vol.4」にご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
業務への生成AI活用は広く普及し、使い方にも注目が高まり続けていますが、業務内のさまざまな部分で活用できる可能性が感じられたのではないでしょうか。

メンバーズは運用に強みを持つ企業として生成AIの環境を提供して終わりではなく、生成AIを含む仕組みを実装し、業務に定着化・運用までを伴走型でご支援いたします。
ご紹介した内容から少しでも生成AIの業務活用にご興味を持たれましたらお気軽にお問い合わせください。また、本ブログにて今後のイベント開催についてもお知らせしていきます。

その他、医療・製薬・ヘルスケア企業に特化したデジタルマーケティングのご支援についてご相談がありましたら、こちらからお問い合わせください。

イベント登壇者

イベント登壇者 彦坂 圭

彦坂 圭/Hikosaka Kei
職種: プロデューサーマネージャー
入社年:2012年
経歴:メンバーズ入社後、経営企画室で業績管理スキームの構築・推進に従事した後、SNSや広告支援を行う部署にて様々な業界のマーケティングを支援。2021年からは製薬・ヘルスケア業界特化カンパニーにて、大手ヘルスケア企業の患者向けサービスの会員獲得から活性化の戦略策定から実行支援をリード。また生成AI活用を前提とした業務フロー構築を通した、実効性のある生成AIの組織定着の支援を行う。

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