
メンバーズメディカルマーケティングカンパニー(以下、MM)による「生成AI」の業務活用の事例を紹介します。今回は、アプリの課題抽出作業を効率化した事例です。アプリのUI/UX改善や評価向上にユーザーコメントの分類や分析は欠かせないものの、こちらのケースではデータの抽出や集計の効率化ができずお困りの状態でした。実際の作業の手順も解説しますので、みなさまの業務にもお役立てください。
膨大なデータを正確にカテゴライズし、年間約200h削減!

サイト内のレビューやコメント欄に集まったユーザーの声を要約することもできる生成AI。大量のテキストデータの分類にも役立つツールとしてさまざまな場面で導入されています。
今回ご紹介するのは、アプリケーションの課題抽出作業を効率化した事例です。アプリのユーザー評価はUI/UX改善・評価向上に欠かせませんが、こちらの事例では膨大なコメントデータからの課題抽出に時間が掛かり、効率化が進まずにお悩みを抱えている状態でした。
そこで生成AIを活用した結果、工数約50%削減、時間に換算すると年間約200hの削減となり、アプリの評価も大幅に向上させることができました。自社のサービスや製品に対するユーザーの満足度やトレンド分析、集計作業などでお困りの企業さまも多いかもしれません。
ご紹介する作業手順を参考にしてみてはいかがでしょうか。
プロジェクトの背景や取り組みの詳しい内容について以下から解説していきます。
【背景】
統合型セキュリティアプリの開発チームで、メンバーズは開発時からUI/UXの支援担当として参画。今回の問題は、リリース後の運用フェーズでアプリのUI/UX改善と評価向上のための施策提案を担当した際に発覚したものです。コメントを抽出しようとしてもデータが多すぎて正確な分類ができないなどの課題を抱えていました。
<課題>
■ストア評価を向上させたいが、課題の抽出や対応の優先順位づけができない
リリース直後からバグが多くストア評価が向上しない中、課題の抽出や対応の優先順位づけができない、クライアント企業としても生成AI活用が命題となっているが、活用のしかたが分からないという課題があった。
■コメントが多く、正確なカテゴライズができない
モバイルアプリ市場の分析や競合調査ができる「data.ai」が利用できるようになり効率化が進んだものの、リリースから時間が経過するのとともにコメント数が膨大になり、正確なカテゴライズができないという課題が顕在化した。
【取り組み内容】
上記の課題を踏まえて生成AIを活用した作業に置き換えてみました。作業の手順やプロンプトの一部をご紹介しますので参考にしてみてください。
< 作業手順 >
■STEP1:GPTでコメントを整理し、大まかなカテゴリを作成
↓
■STEP2:コメントを自動で分類するプロンプト(GPTs)を作成
↓
■STEP3:GPTsにコメントを投下
↓
■STEP4:出力結果をExcelで集計
↓
■STEP5:レポートに転記
< プロンプト例 > ※実際のプロンプトの一部となるため、作成時の参考としてください。
あなたはシニアマーケターです。与えられたレビューコメントを以下の処理手順と条件に基づいてステップバイステップで分類してください。
##処理手順
・入力したユーザーコメントについて、1つずつカテゴリ分類してください。
##条件
・複数のカテゴリに該当する場合は、最も適切な1つを選んでください。
・出力結果の形式は、必ずアウトプット例の形式を厳守してください。
・レビューコメントは件数分全て書き出してください。
・件数が多ければ、ファイル形式で出力しても構いません。
・**処理の途中経過(カテゴリ別カウントと保存状況)を適宜確認できるようにしてください。**
・
・
・
##アウトプット例:
”’
{ID} {カテゴリ}
”’
・
・
・
【成果】
取り組みによって以下の効果がありました。
■優先課題の抽出・作業工数削減・アプリ品質向上
ストアコメントの分類をChatGPTがすることで作業時間を約50%短縮(年間約200h)。詳細分析による課題発見とアプリ課題の優先順位を可視化することでバグ修正の効率化に寄与。ストア平均評価は、リリース後約1年で2.33→4.14まで大幅向上。(Android・1年間)
■分類精度向上と大規模データ対応
data.aiからコメントデータをダウンロードしてChatGPTでカテゴリに分類、カテゴリごとの集計作業をExcelで行い、それぞれのツールの得意領域で作業分担させたことでカテゴライズ精度の課題を改善。100件を超える膨大なデータにも対応できるようにプロンプトをアップデートした。

取り組みによって課題となっていた2点を解消することができました。
アプリの課題の優先順位を可視化できたことでバグ修正もスムーズに進み、その結果、アプリの評価を向上させることにも繋がりました。また、集計作業にExcelを組み合わせている点も効率化のポイントです。
<ポイント>
【ツールの得意・不得意を理解して使い分ける】
・ChatGPTは分析・要約は得意だが、集計は苦手。
・数値データは集計・計算が得意なExcelへ分担させた。
・ツールを使い分けることで分類精度が向上、大規模データへの対応が可能になった。
※その他、MMの業務改善の記事はこちらでもご紹介しています。

【生成AI業務改善事例】Webサイト提案に掛かる時間を70%削減!
2025.03.27
メンバーズメディカルマーケティングカンパニー(以下、MM)による「生成AI」の業務活用の事例を紹介します。今回は、Webサイト構築プロジェクトの提案作業の効率化を実現した事例です。実際の作業の手順も解説しますので、みなさ […]

【生成AI業務改善事例】Excelマクロ修正で工数削減を実現するChatGPTの使い方をご紹介
2024.07.25
私たちメンバーズメディカルマーケティングカンパニー(以下、MM)による「生成AI」の業務改善の事例を紹介します。自社へ生成AIを導入し、活用を検討している製薬業界の方は、業務改善の参考になるかもしれません。ぜひチェックし […]

【生成AI業務改善事例】メルマガ作成への生成AI導入で工数50%削減!
2025.02.10
私たちメンバーズメディカルマーケティングカンパニー(以下、MM)による「生成AI」の業務活用の事例を紹介します。自社へ生成AIを導入し、活用を検討している製薬業界の方は他社でどのように生成AIを使っているのかを知りたい方 […]
「ChatGPT」×「Excel」ツールを組み合わせることで効率化を促進!

今回は、ユーザーの評価コメントの仕分け作業を自動化し、工数を約50%削減、アプリ品質の向上に繋げた事例をご紹介しました。
生成AIの活用方法は多岐にわたりますが、ツール単体でできることは限られているため、場合によっては「ChatGPT」×「Excel」のようにツールを組み合わせるとさらに効率的な作業が実現できます。
また、生成AIについて興味はあるものの、技術を効果的に活用できる人材が確保できない企業さま、AIの結果の検証や信頼性、セキュリティに対する不安があるという企業さまもいらっしゃるかもしれません。MMは医療・製薬・ヘルスケア業界に特化した生成AIの導入・運用支援を行っておりますので、自社業務で生成AIを活用したい企業さまはお気軽にお問い合わせください。
この記事の担当者

加藤 美羽 / Kato Miu
職種: Webディレクター
入社年:2023年
経歴:2023年新卒入社後、Webinar運用案件→ イベント事務局運用案件に従事。