【勉強会:後編】お酒と健康の微妙な関係性

コラム

公開日:2024.07.10

「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」と近年流行しているお酒との関係

私たちの顧問であり、株式会社メディカル・インサイトの代表取締役社長を務める鈴木氏の勉強会のレポートです。前回に引き続き、後半のテーマも「お酒と健康の微妙な関係」です。
厚生労働省が発表した『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』にちなんで、近年流行しているお酒との関係についても触れています。ぜひ、ご覧ください。

ガイドラインのデータはお酒のリスクを把握する際に重要

佐塚さん「では、鈴木さん、後半もよろしくお願いします!」

佐塚さん、清水さん、菰田さん、マルダンさん、田原さん、平塚さん「よろしくお願いします!」

鈴木氏「よろしくお願いします。前半では、アルコール依存症の患者数のお話や厚生労働省から4月に発表された『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』(*)などを元にお話をしてきました。また、1日あたりの平均純アルコール量の摂取量の目安は約20g程度とされていて、それをお酒の量に換算するとどれ位の量なのかを計算しましたが、みなさんどう感じましたか?」

全員「……(沈黙)」

鈴木さん「みなさん悲しい顔をされていますね、20gが結構少ないと感じたせいでしょうか(笑)。マルダンさんも悲しい表情ですね!でも、この20gは、平均的な数値です。すごくお酒に強い人、家系的にそんなにお酒が飲めない人、色々な状況の人をひっくるめて出している平均なので個人差はある筈です。また、男女差については、女性の場合は約10gの純アルコールとされていて不公平感はありますが、男性とのアルコール分解速度の違いなどもあるので、データとしては確実だと言えそうです。
それから、こちらのデータは病気の発症リスクとしての平均データでもありますが、それを超えた飲酒をしたからといって急に身体に症状が出るわけではありません。なので、リスクを知ったうえで個人個人が判断していくといった感じですね。とは言え、お酒を飲む人にとって今年は逆風が吹き始めてしまったかな……という所で、お酒のメーカーさんもこの辺りをかなり意識しながら注意書きを入れたり、配慮されているようです。これに関して少し面白い動きがあったのですが、みなさんは『ストロング系』のチューハイを飲んだことはありますか?」

全員「(頷く)」

鈴木氏「大体の方が飲んだことがありますよね。結構リーズナブルなお値段で、各お酒メーカーさんがこぞって売り出した商品でしたので。この『ストロング系』のお話に関して、日本の薬物依存症の研究や治療の第一人者の方で精神科医の松本俊彦先生という方がいらっしゃいます。元プロ野球選手の清原和博さんなどの主治医もされる有名な方です。
松本先生が前から仰っていたのは、大麻よりもアルコールの方が怖いということ。すでに2020年の段階で『ストロング系はヤバい』というお話もされていらっしゃいました。で、なぜ“ヤバい”かというと、まず、ストロング系のお酒は甘くて飲みやすいですよね。だから、ロング缶でもどんどん飲み進んで、アルコールにすると40gとか、かなり多い量でもあっという間に摂取してしまうんです。
さらに怖いのが、ストロング系が登場してから患者の酔い方もおかしくなってきている、と。臨床現場でそう感じていたからこそ、注意喚起の情報発信をされていたんです。みなさんは最近、ストロング系のお酒が発売中止になっているのはご存知ですか?お酒メーカーも依存症を作り出してしまうことに社会的責任を感じて、発売中止にしたりするケースもあるようです。そういう流れが最近出てきているということですね。どうでしょう、みなさんはここまでのお話で何か感じたことはありますか?」

メンバー質疑応答!ヘルスケア時代にお酒や薬はどうあるべきか

ヘルスケア時代にお酒や薬はどうあるべきか

佐塚さん「例えば、がんを治すということで使われる薬は薬価も高く、利益になるわけですが、これだけ潜在的に70万人以上のアルコール依存症の患者さんがいるならば、製薬メーカーとしてはアルコール依存症を治療するような薬を販売することを考えたりはしないのでしょうか?飲む前に内服する、肝臓の働きをサポートするようなものはありますが、依存症を防ぐ薬はあまり聞いたことがないなと……」

鈴木氏「メチャメチャ良い視点ですね!いま現在はそういったお薬は無いのですが、以前の勉強会で肥満症に関するお薬、ダイエット薬が出てきたという話(【予防医療勉強会:後編】話題の新薬や製薬会社との関係を解説!)をしましたが、あれは糖尿病の薬の副作用である体重減少の効果を利用したものなんですね。その副作用が主作用として、今は科学的に実証されて保険適用になって世の中に出てきているんですけれども。あのお薬が何をしているのかというと、簡単に言えば過剰な食欲が出ないようにしているんです。アルコールに関しても、『飲みたい』という欲をあまり出さないような作用がある薬が出てきても、おかしくないなと思います。そこを目指して製薬企業が薬を開発していくというのは十二分に考えられることかと思います」

佐塚さん「ありがとうございます。もう一つ良いですか?アルコールを摂取するリスクは理解できたのですが、運動をすることによってリスクがどう変わるか?というのは全く別の次元の話なのでしょうか?」

鈴木氏「運動習慣とがんの発症リスクを見ていくデータもあるんですけど、アルコールと掛け合わせたものは見たことはないですね。ただ、生活習慣というのは“食習慣”とか“睡眠習慣”とか色々あるので、掛け合わせを考えると結構キリが無くなってしまうというか……一つひとつを切り出して考えるしかないでしょうね」

清水さん「そういえば、最近色々なお酒メーカーから微アルコールの飲料が出ていますが、やはりこれも世の中の風潮に合わせて、アルコールが悪いイメージにならないようにしているのかなと。メーカー視点で考えてしまいました(笑)」

鈴木氏「こちらも良い視点ですね!アルコール度数をあえて下げて健康に配慮する側面を見せているかもしれません。逆に、これなら2本飲んでも良い、という風に考えて飲む方もいるのかもしれないですが(笑)」

清水さん「そうすることで販売本数は伸びるかもしれませんね」

鈴木氏「うん、確かにそういう予測も成り立ちますよね。菰田さんはどうでしょう?」

菰田さん「社会人になると多くの方がお酒をたしなむというイメージがありますが、今回のリスクの値を出すサンプルになった方たちというのはどういった方なのか気になりました。今までお酒を飲んだことのない人との比較なのか、今は飲んでいないけれど、前は飲んでいた人が病気になったのか……こういう所も含めてリスクを認知したいなと思いました」

鈴木氏「そうですね、大事なことです。煙草だってそうですよね。止めたらリスクが下がるのか、止めてからもリスクが残るのか、気になりますよね」

マルダンさん「私はお酒を飲むのが年に4~5回ぐらいなので飲酒のリスクはあまり心配ないと思っていますが、喫煙家なので、そちらを止めたいと思っています(笑)」

鈴木氏「なるほど。今日はたばこの話はしなかったですが、たばこの健康リスクは明らかなデータが出ていますからね(笑)」

田原さん「私は、薬とアルコールを一緒に使った時の悪影響がどうなるのかが気になりました。薬だけじゃなくて、サプリメントもどうなるのか。効果や副作用がどうなっていくのか、そういった点について注意喚起も必要なんじゃないかなと思います」

鈴木氏「そこもぜんぜん見えていない所ですよね。一般論としては、アルコールと薬を一緒に飲むと肝臓に負担がかかりますし、飲み合わせで薬の効果を増強したり弱めたりということも十分あり得るので、薬を飲む方が一緒にアルコールを飲むのは、避けるべきと考えられます。あ、平塚さんはいかがでしたか?途中から入られましたが、良かったら感想とか、アルコールをいったん中断したキッカケとかもお話しいただければ」

平塚さん「私は新型コロナが流行してから在宅ワークになって、家で飲むようになったのをきっかけに断酒しました。元々、お酒を飲むとお腹が空くタイプで、体重もうなぎ上りになってしまったところでお医者さんに『このままではまずいです』と、止められて。で、お酒も止めて増えた体重も戻せたんですが、お正月に体重が減ったことを良いことに飲酒習慣が戻ってしまって。また体重もじわじわと上がって来たので、再び断酒した方が良いと思っているところです……」

ガイドラインを参考に適切にお酒を楽しみましょう!

ガイドラインを参考に適切にお酒を楽しみましょう。

鈴木氏「そうでしたか。一度しっかり断酒ができていますから、再断酒もできそうですよね。僕もお酒自体は好きなんですが、実は体質的にはあまり飲めなくて。お酒の量で言えば、一合半ぐらい。缶ビールはロング缶なら1本要らないぐらいなんですが……飲みに行くのは好きなので、みなさん、ぜひ一緒に飲みに行きましょう(笑)」

佐塚さん「良いですね、今度企画します(笑)。最後にもう1つ、良いですか?例えば僕たちがアルコールと健康に関するブログを発信するとなった場合、製薬企業やヘルスケア企業の方は、こういうコンテンツを喜んでくれたり、興味を持ってくれるんでしょうか?健康に関する知識をちゃんと持っている企業だから仕事を依頼しよう!という風になるのかというのが営業としての目線で気になりまして」

鈴木氏「そうですね、製薬企業やヘルスケア企業もそうですが、特にアルコールの吸収度を下げることを狙っている健康食品のメーカーなら、印象は悪かろうはずはないと思います」

佐塚さん「そういえば、アルコール製品を作っている企業は、最近のアルコール依存症の影響などから法規制的に広告でどう表現して行こうか考えたりしているんでしょうか?」

鈴木氏「業界内の自主規制などはあると思いますね。厚生労働省からのガイドラインが出た影響というのはかなり大きいと思います」

佐塚さん「ありがとうございます。メンバーズメディカルマーケティングカンパニーのミッションは『日本の医療費問題を解決し、人々が健康で心豊かに暮らす社会を創る』なので、社内のクリエイターも健康でいてもらいたいですから、今回の内容は製薬会社の方や一般の方ももちろん、社内メンバーにも読んでもらいたいですね!」

鈴木氏「そうですね。エビデンスはエビデンスとしてしっかりあることを認識したうえで、みなさん節度を持って楽しんでいくことが大事かと思います!」

全員「ありがとうございました!」

(*)参考:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」

――今回の指針が発表されたことで酒類製造企業への影響も大きかったかもしれませんが、世の中が予防医療に向かっていることがハッキリと感じられたのではないでしょうか。また、飲酒習慣を持つ私たち一人ひとりにとって、このガイドラインのデータを参考にしてリスクを正しく把握し、お酒の楽しみ方や付き合い方を見直す良い機会となりました。
今後も勉強会レポートを通じて、医療・製薬業界のトレンドや専門的な知識をお伝えしていきます。

この記事の担当者

佐塚 亮

佐塚 亮/Satsuka Ryo
職種:sales
入社年:2020年
経歴:大手スポーツメーカにて店舗sales,エリアマネージメント業務を担当。のちWeb制作会社にてWebサイトの提案からディレクションをこなし、コンサルタントとしてサイト立ち上げ後の売上向上まで支援。その後2020年にメンバーズへ入社。主にクライアントからのヒアリング及び検証データを基に要件定義を行い、サイトの構築運用を実施。定常的に支援サポートを行う。クライアントはもちろんエンドユーザーの立場・視点に立ち、問題抽出から改善案の立案までを手がける